価格競争の厳しい中、販売価格を維持し、コストアップを吸収していくためには、パートナー企業の在り方、仕入れの手法を見直すことが重要です。
市場開発を行っているパートナーと共に、オープンイノベーションの発想で取り組む時代なのです。
仕入れ先は、単なる物品の納入者ではなく、経営方針や商売の考え方を理解し、企業繁栄のため手を携えてやっていけるパートナーでなければなりません。共に儲けられる関係づくりに向け、相互に努力し、長く付き合える仕入れ先を多く持つことが、利益向上の秘訣です。
取引が長くなると、マンネリ化して互いに成長を怠りがちになります。ニーズにマッチした新しい製品やサービスを提供してくれる新規仕入れ先、あるいは、コストダウン努力の厳しい業界からの新規仕入れ先などの開拓も怠ってはなりません。
しっかりした仕入れ先は、売れ筋商品や価格の情報、さらには業界情報やライバル情報に至るまで、有効な情報を持っています。それらを上手に引き出し、活用するのも大事です。
本社での一括集中仕入れ、工場・支社・支店での分散仕入れには、一長一短があります。業種・業態によってメリットやデメリットは異なるので、十分に検討すべきです。
仕入れ担当者は積極的に外へ出て、仕入れ先を歩き、勉強して回り、生きた情報を取り入れるべきです。単なる仕入れ担当者から“オープンイノベーション担当者”へ育成することが大切です。
経営は試行錯誤の繰り返しであり、仮説を立てて検証する以外に道はありません。
目まぐるしく変化する経済環境下では、スピードとの闘いであり、判断するための材料が完全にそろっていなくても決断せざるを得ない状況もしばしばあります。
したがって、決断のミスは臨機応変に行動で補うしかありません。決断と行動で企業活動を修正していける役員が求められるのです。
状況によっては、取締役会の見直しが必要なケースもあるでしょう。
会社法上の取締役会設置会社における取締役会は、株主総会で選任された取締役を構成メンバーとする会社の重要な業務執行についての意思決定機関です。
具体的には、会社法において重要な財産の処分・譲り受け、多額の借財、支配人・重要な使用人の選任・解任、支店・重要な組織の設置・変更・廃止、内部統制システムの構築、その他重要な業務執行については、必ず取締役会において決議しなければならない旨が規定されています。
また、取締役は、取締役会を通して代表取締役や業務執行担当取締役の業務執行を監督する立場にあります。つまり、個々の取締役も取締役会を通して代表取締役に対する監視義務があることは、会社法上も判例法上も確立した義務です。変化の激しい時代において、適切な決断、迅速な行動のできる体制を整えていくことが不可欠です。
※本文・図はタナベ経営主催「社長教室」のテキストを抜粋して制作しています。