物流フォーラム(ゲスト:フジトランスポート、日立物流)
株式会社タナベコンサルティング
選ばれる物流会社になるためのサステナブルモデル
ストラテジー&ドメインコンサルティング大阪本部 本部長代理
物流経営研究会リーダー
土井 大輔
大手システム機器商社を経て、タナベ経営(現タナベコンサルティング)に入社。2016年より物流経営研究会リーダー就任。「物流が世の中を支えている」という思いで物流経営研究会を立ち上げ、物流業のサステナブルモデルを開発。「荷主側の経営課題」を把握した上での物流会社の事業戦略構築を得意とする。また、製造・卸売・小売・サービス・建設業の経営支援も数多く手掛け、熱意あふれるクライアントファーストのコンサルティングで多くのファンを持つ。
物流業界の課題と方向性
物流業界の主な課題は、労働力不足(有効求人倍率の高さ・平均年収の低さ)、低い生産性(自動化の遅れ・労働時間の多さ・積載効率の低さ・無償附帯料金の不明確さ)、単独改善の限界(荷待ち時間・附帯作業の多さ)だ。
業界の課題解決に向けた物流業の方向性としては、次の3つが挙げられる。。
①付加価値業務へ資源配分
②不足機能の強化
③選ばれる理由の明確化
荷主側の方向性は、次の3つである。
①サプライチェーンの最適化につながるロジスティクス戦略の構築
②全社戦略としての位置付け
③業務の標準化・統一化
業界の課題を解決するためには、荷主側と物流会社がそれぞれの方向性を擦り合わせ、連携する必要がある。
国内物流会社のサステナブルビジネスモデル
全国の物流会社、約900社の損益を分析したところ、高収益企業は次の4つのビジネスモデルに分類された。
①物流+αモデル
コンセプトは「物流“が”繋がるサービスを提供する」である。
サプライチェーンの前工程や後工程に当たる他プレーヤー業務を物流会社が提供するモデル
②サービス特化モデル
コンセプトは「集中特化による効率化」である。
特定のサービスもしくはエリアに特化して効率を高めているモデル
③ドメイン特化モデル
コンセプトは「荷主・業界や特定荷種に特化して対してワンストップで対応する」である。
調達・生産・販売・回収物流の4区分×物流6大機能においてノウハウを発揮するモデル
④本業拡大モデル
コンセプトは「自社の費用科目を活用して外部収益を得る」である。
物流会社が自社用のWMSを開発し外販するなど、自社で活用しているモノを外販するモデル
既存事業を核としながら、これらのビジネスモデルを構築し収益構造・組織構造転換するために、今後の10年を見据えたロードマップを策定しましょう。
株式会社タナベコンサルティング
人が集まる物流会社のビジョン構築
株式会社タナベコンサルティング
北陸支社 支社長
物流経営研究会サブリーダー
番匠 茂
長年にわたる営業部門での経験を生かし、各企業の経営コンサルティング、幹部人材の育成などで活躍中。トップ・幹部と一体になった実践的な取り組みにより、クライアントへの熱い思いをベースに進化を実現。数多くの成長企業を支えている。2021年より現職。
中期ビジョン策定の意義
時間外労働時間の上限規制で生じる2024年問題を前に、人が集まる物流会社になるためには、「自社の在るべき姿」を描き、そこから逆算してプロセスを明確化するバックキャスティングで中期ビジョン・中期経営計画を策定するべきだ。時間外労働時間の上限規制で生じる2024年問題を前に、人が集まる物流会社になるためには、「自社の在るべき姿」を描き、そこから逆算してプロセスを明確化するバックキャスティングで中期ビジョン・中期経営計画を策定するべきだ。
中期ビジョン・中期経営計画の意義として、次の4つが挙げられる。
・価値観の違う社員を、目的共有の同志・パートナーとしてつなぐ
・レールを敷くから脱線が分かる
・全社員の道しるべ=未来先行経営
・会社の思いを実現する共通ツール(目的・目標)
中期ビジョン・中期経営計画を策定するとともに、ビジネスモデルを見直すと良いだろう。収益力は事業構造で決まるため、「誰に」(顧客・業種・分野)、「何を」(商品・サービス)、「どのように」(販売方法・チャネル、製造・購買方法、提供方法など)といった観点で、自社の強みを明確化する。
戦略は「自社の強み」からしか出てこない。ビジョンを打ち出し、顧客・社員・社会に広く周知し、共感・共鳴を集め、より優秀な人材・顧客から支持される会社になっていただきたい。