インフォキュービック・ジャパン:コロナを経て変化した、デジタルマーケティングトレンドとグローバルコミュニケーションの重要性
代表取締役社長
梅川 万穂氏
大学在籍時代、ネットワークの基礎からウェブサイト制作まで幅広く学び、2005年にインフォキュービック・ジャパンに入社。SEO対策、ウェブサイト制作、アクセス解析などさまざまなサービスを担当し、サービス統括を経て2021年に代表取締役に就任。
「デジタルなくして未来なし」と経営者が覚悟を決める
海外市場に対する有益な販売手段として、BtoCのみならずBtoBでもECを検討する日本企業が増えている(ジェトロ「2021年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」、2022年2月)。購買行動がオフラインからオンラインへ大きく変化し、デジタルコミュニケーションがより重要になったいま、適切な媒体や手法を知ることが、見込み客へのアプローチし、クライアントサクセスへと導く一歩になる。
これから海外へと商域を広げる企業にとっては、「いかに最適なグローバルコミュニケーションを築くか」が重要である。
まずは、ユーザー目線の情報設計と体験設計、最新の情報提供、そして、継続的にデジタルマーケティングを運用できる体制の構築を目指す。次に、発信したいペルソナ(商品・サービスの典型的なユーザー像)を想定する。最後に、カスタマージャーニー(ユーザーが商品・サービスの購入に至るまでのプロセス)を組み立て、ユーザーの全体像を把握して、好感を与えるデジタルコミュニケーションの媒体と手段を選定する。
最近では、ドメイン(事業領域)ごとにマーケティングチームを分ける企業が増えている。チームを分けることで、コーポレート部門は投資家に向けた企業価値を全面に打ち出すことができ、各事業部門は商品・サービスに特化した情報を打ち出すなど、自由かつ素早く情報を更新することが可能だ。
自社でデジタルマーケティングを検討する上で、「デジタルマーケティングをアウトソースすれば問題ない」という考えや姿勢では、必ず目標達成へのプロセスが破綻する。良いモデルケースには推進役となる社員が存在するという共通点がある。社内の細やかな情報収集は、外部のマーケティングエージェンシーだけでは限界があるからだ。
グローバルマーケティングを自社の持続的な成長につなげるためには、まずは経営者が覚悟を決めることが重要である。トップ自らがデジタルマーケティングの重要性を理解して、社内に周知することから始めていただきたい。
タナベコンサルティング:グローバル・ビジョンを実現する戦略デザイン
執行役員 ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
ストラテジー&ドメイン東京本部
村上 幸一
ベンチャーキャピタルにおいて投資先企業の戦略立案、マーケティング、フィージビリティ・スタディなど多角的な業務を経験後、当社に入社。豊富な経験をもとに、マーケティングを軸とした経営戦略の立案、ビジネスモデルの再設計、組織風土改革など、攻守のバランスを重視したコンサルティングを数多く手掛けている。高収益を誇る優秀企業の事例をもとにクライアントを指導し、絶大な信頼を得ている。中小企業診断士。
グローバル戦略の目的と本質は、【図表1】の3つに要約される。
1.アービトラージ戦略
各国の為替、金利の差で利潤を得る戦略。各国の地域差・特性の違いに着目することが重要である。海外戦略においては、この戦略が基本となっている場合が多い。
2.レプリケーション戦略
本国、あるいは他国で成功しているビジネスモデル、製品・サービスを違う国で展開し、ビジネスを拡大していく戦略。そのままレプリケーション(複製)できるものもあれば、各国の商慣習に合わせた設計が必要な場合もある。
3.インテグレーション戦略
各国の違いにかかわらず、自国で築き上げた強力なブランド、製品・サービスによって世界全体で市場を拡大していく戦略。グーグルなどはこの一例であり、強力なブランド力で世界的シェアを獲得している。
【図表1】3つのグローバル戦略
重要なのは、この3つの戦略は切り分けて考えられるものではなく、【図表1】のように重なる部分が存在するということである。相互に影響を与えることを理解した上で、各戦略を実装、推進する必要がある。また、グローバル事業ポートフォリオとバリューチェーンの展開については、【図表2】のバリューチェーンを俯瞰しながら前述の各戦略を組み合わせることも忘れないでいただきたい。
【図表2】グローバル事業ポートフォリオとバリューチェーンの展開
国内市場の縮小が進む日本において、日本企業のグローバル戦略は必須である。そのためには、海外情勢の変化に伴う海外事業ポートフォリオの強化、再編を進めることが重要だ。また、自国の製品・サービスを海外で展開する内から外のグローバル視点だけでなく、海外の先進事例をレプリケーションし、自国で展開する外から内の視点も必要である。
グローバル・ビジョンをアップデートし、それに基づく長期視点のグローバル戦略をデザインすることが、日本企業の生き残りの鍵となる。