特集1:「福利厚生」を考える
2017年10月号
継続就業意欲が低い人ほど福利厚生に「不満」
皆さんの会社には、どんな福利厚生(特に法定外福利)があるだろうか。従来、「社宅」や「慰安旅行」「保養」など、どこか“企業目線”で従業員の“非日常”を支えていた福利厚生の内容が、近年は「リフレッシュ休暇」「社内カフェテリア」「健康管理・メンタルヘルスサポート」「資格取得補助」などへ多様化。さらに「失恋休暇」「バーゲン・映画半休」「学び休暇」なども登場し、“ 従業員目線”で“日常”を支える内容へ様変わりしている。
こうした変化の背景には、従業員の価値観やライフスタイルの変化、ニーズの多様化などがある。また、優秀な人材の確保に向けて、企業が福利厚生を活用したい狙いもあるようだ。
実際、福利厚生施策は従業員満足度の向上や離職の防止に直結する。技術系人材派遣会社のパーソルテクノロジースタッフが行った調査(20~59歳就業中男女505名が対象)によると、会社・組織の福利厚生を「知っていて、利用している」と答えた人は42.6%にとどまった。
一方、「知ってはいるが、利用していない」が31.8%、「これといった福利厚生がない」が16.8%、「よく知らない」が8.9%となり、活用に至っていない従業員が多い現状が明らかになった。(【図表1】)
ただ、福利厚生を知って利用している従業員は、知ってはいるが利用していない従業員と比べ、「会社・組織で継続的に就業したい」「会社・組織での人間関係は良好」「会社・組織が好き」「働きがいを感じる」などの項目でいずれも上回っており、会社や仕事への満足度が高いことが判明(【図表2】)。福利厚生を制度として設けるだけでなく、実際に活用してもらう重要性が分かる。
さらに、福利厚生に対する満足度別に「現在勤めている会社・組織で継続的に就業したいと感じるか」を聞いたところ、福利厚生に「大変満足」と答えた従業員の44%が「継続的に就業したいと強く感じる」と回答。一方、「大変不満」と答えた従業員のうち、「強く感じる」と答えた割合は6%にとどまった。(【図表3】)
調査から、福利厚生が従業員満足度や継続的な就業への意欲を大きく左右することが分かる。また、採用の際、福利厚生は応募者の「企業選び」の重要な決定要因にもなるという。人材獲得競争が激しさを増す中、福利厚生の積極的な活用が企業戦略として不可欠になっている。