特集1:ファミリーマーケット
2017年7月号
変わる親子のコミュニケーションのカタチ
ファミリーマーケットをビジネス上のターゲットに見据えるとき、イマドキ親子の関係を正しく捉えることが欠かせない。
例えば親子の連絡頻度。三井ガーデンホテルズの調べ(20~49歳の男女600人が回答)によると、「頻繁(週に1回以上)にとりあっている」が47.3%と半数近くに上り、意外にコミュニケーションをとっている(【図表1】)。連絡手段(複数回答)については7割以上が「電話」で、「メールやLINE」も6割以上存在する(【図表2】)。
スマートフォンやSNSの普及により、時間を気にせず気軽に連絡を取り合えるようになったことが大きな要因。加えて、フラットな関係で仲の良い“友達”のような親子が増えていることも一因だろう。
実際、「旅行をする際、一緒に行きたい相手」は、20~49歳女性の約半数が「母」と回答。友人や夫、恋人よりも高く、母親は誰よりも気を使わず、気兼ねなく話せる存在であることが分かる。
また、ジブラルタ生命保険の調査(子どものいる30~49歳の既婚男女2000人が調査対象)によると、最近1年以内に行った親との交流は「直接会って話を聞く・相談に乗る」「実家で正月やお盆を過ごす」「一緒に食事やお酒を楽しむ」が多数を占めた。今後行いたい交流内容は「一緒に旅行に行く」(20.9%)、「長寿のお祝いをする」(12.4%)、「一緒に遊びに行く」(12.0%)、「用がなくても電話して話す」(10.7%)が多く(【図表3】)、特に30代女性は、普段から親とメッセージのやりとりをしたり、旅行や趣味を共にしたいと考える傾向が強い。
ただ、親孝行の時間はなかなかとれないようだ。前述の三井ガーデンホテルズの調査では、7割超が「親孝行をしたいとは思っているが、なかなかできていない」と回答。背景の1つには、働く女性の増加が挙げられるだろう。厚生労働省の「働く女性の実情(2015年版)」によると、25~44歳の女性の就業率は、1985年(56.5%)から2015年(71.6%)まで増え続けている。
2005年から2015年の10年間では、「30~34歳」と「35~39歳」の女性労働力率の上昇幅が大きく、それぞれ8.5ポイント、8.8ポイント増。特に結婚している「有配偶者」の労働力率の上昇が目立ち、今後も女性の就業は増え続けるとみられる。
たわいのないことでも連絡し、親孝行の意欲も高いものの、仕事と家事、育児で忙しくて思うように時間がとれない――。現代の親子の歯がゆい現実を知り、彼らのニーズに寄り添うサービスが求められる。