その他 2017.03.31

特集1:ブレーン・ネットワーク

2017年4月号

 

 

“守りたい”社員、“広げたい”経営者人脈づくりの意識に格差あり

 

SNSやブログなどインターネット上の交流が広がり、日本中が“総お隣さん感覚”で簡単につながる時代。そんな中、ビジネスパーソンのネットワークに対する意識も、従来とは異なってきたようだ。

 

住友生命保険がビジネスパーソン1000人に実施したアンケート調査によると、「あなたが持っているネットワークは何か」との設問(複数回答)に対し、「社内の人たち(同僚・上司・部下や他部門の人たち)」と答えた人が断トツ(60.7%)だった。特に若い世代ほど、その傾向は強い。1996年の調査結果と比べ、「社外の異業種の人たち」が激減しているのも特徴的だ。(【図表1】)

 

「最も大切にしているネットワーク」についても、「社内の人たち」がトップ(39%)。「今後、自分の持つネットワークをどうしたいか」に対し、「今のままで十分」という回答者が大幅に増加した(1996 年26.6%→ 2016年61.4%)。一方、「さらに拡充したい」「新たに参加・開拓したい」と回答した“拡張派”は大幅に減り、20代、30代でも20%未満にとどまる。

 

同調査から、若い世代ほど社内人脈を重視し、ネットワークの拡大意欲が薄れていることが分かる。住友生命保険は「人口減少や成長率の伸び悩みなど日本社会に閉塞感が広がる中、ネットワークについても“今を守る”意識が表れている」と指摘する。

 

ただ、経営者の意識は社員と異なる。ソニー生命保険の「経営者と社員の意識比較調査」によると、「ビジネス上関係なさそうな人ともつながるようにする」と答えた経営者は33.8%に上り、「(ビジネスとは関係なく)人脈を広げることが後々の財産になる」と考える人が多い。また「社外の知り合いと飲みに行く」「異業種交流会・勉強会に参加する」を挙げた経営者は、社員よりも10ポイント以上高かった。(【図表2】)

 

社員が「社内人脈」を重視し、ネットワークの拡張に消極的であるのに対し、経営者は「社外の人脈づくり」に精力的に取り組んでいることが分かる。「今を守りたい」社員と、人脈を広げて「今を変えたい」経営者の意識の差が浮き彫りとなった。

 

変化の激しい時代にあって、自社だけで必要な人材を賄うことは難しい。“その道のプロ”である外部ブレーンの活用は今後、ますます必須になるだろう。

 

自社に最適な協力者を得るには、経営者であれ社員であれ、日頃から幅広い人脈づくりを意識することが求められる。

 

 

【図表1】 あなたが持っているネットワークは?(複数回答)

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出典 : 住友生命保険「『ビジネスパーソンと“ネットワーク”』アンケート実施結果について」(2016年9月8日発表)

 

 

【図表2】 ビジネスにおける人脈をどのようにして広げているか(複数回答)

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出典 : ソニー生命保険『経営者と社員の意識比較調査』(2016年5月25日発表)