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企業経営や市場(マーケット)について、話題の最新テーマを取り上げるコラムです。
コラム 2017.03.31

特集1:ブレーン・ネットワーク

2017年4月号     中小企業経営者の2人に1人が「明確な相談相手が外部にいない」   神戸大学経済経営研究所(RIEB)が2017年1月16日に公表した研究論文※によると、中小企業経営者の約2人に1人が「外部に日常的な相談先がない(または分からない)」ままに経営を行っており、うち7~8割が自社の自己資本比率を把握せず、経営計画も策定していないという。   RIEB・家森信善教授と金沢星陵大学経済学部・北野友士准教授が、中小企業経営者3000人を対象にWebアンケート調査(2016年9月、楽天リサーチ)を行った。その中で外部の日常的な相談先を聞いたところ(複数回答)、「ない」と答えた経営者が25.5%、「分からない」も24.0%となり、合わせて半数近くが明確な相談相手を持っていなかった。(【図表1】)   このうち「外部に相談先はない」と答えた経営者に理由を尋ねると(複数回答)、「効果が期待できない」(26.9%)が最も多い。次いで「相談すべき課題や悩みがない」(26.0%)、「相談できるということを考えたこともない」(25.1%)、「費用がかかる」(18.9%)などが続く。外部の専門家の助言が有効であると認識していない、または相談の必要性を感じていない経営者が目立つ。(【図表2】)   その他、「誰に相談したらよいか分からない」(13.6%)や、「相談すべき課題が具体化できていない」(13.2%)など、相談先の情報や現状の経営課題を整理できていない経営者も一定数存在した。   相談先がないと答えた経営者に対し、経営状況の把握について聞いたところ、「自己資本比率を把握していない」という回答が70.9%と高い水準だった。さらに経営計画も「策定していない」が77.7%を占めた。(相談先が誰か)分からないという経営者も、それぞれ82.5%、87.1%と8 割を超えた。相談先がない経営者は、“自社(自分)で対処できるから外部に相談しない”というわけではなさそうだ。   また相談先がない理由に「課題や悩みがない」を挙げた企業の業績状況を見ると、「2 期連続黒字企業」の割合は55.3%と高かったが、「2期連続赤字」と低迷している企業も25.6%あった。必ずしも相談すべき課題がない企業ばかりとはいえない。   一方、外部に日常的な相談先がある企業の中で、最も多かった相談先は「公認会計士・税理士」(27.1%)だった。「特に頼りにする相談先」の質問項目でもトップ(23.2%)で、中小企業経営者にとり公認会計士・税理士は非常に身近な存在であることがうかがえる。その他、「取引先・同業者仲間」(19.9%)や「他の経営者」(18.8%)、「メインバンク」(14.2%)を挙げる経営者も多い。   論文では、外部に相談しない理由として「効果が期待できない」が最も多いことから、「相談による経営改善には効果があることを企業経営者の意識に浸透させていくことが重要」と指摘している。   ※ 神戸大学経済経営研究所「中小企業経営者の経営能力と金融リテラシー- 2016 年調査の概要-」(同・家森信善教授、金沢星陵大学経済学部・北野友士准教授)、2017年1月16日公表     【図表1】 外部の日常的な相談先(複数回答、上位11項目)と経営状況の把握の関係 201704_method-04     【図表2】 外部に相談先がない理由(複数回答、上位8項目)、理由別の業績状況 201704_method-05 ※ 神戸大学経済経営研究所「中小企業経営者の経営能力と金融リテラシー- 2016年調査の概要-」(同・家森信善教授、金沢星陵大学経済学部・北野友士准教授)、2017年1月16日公表       2017年4月号     “守りたい”社員、“広げたい”経営者人脈づくりの意識に格差あり   SNSやブログなどインターネット上の交流が広がり、日本中が“総お隣さん感覚”で簡単につながる時代。そんな中、ビジネスパーソンのネットワークに対する意識も、従来とは異なってきたようだ。   住友生命保険がビジネスパーソン1000人に実施したアンケート調査によると、「あなたが持っているネットワークは何か」との設問(複数回答)に対し、「社内の人たち(同僚・上司・部下や他部門の人たち)」と答えた人が断トツ(60.7%)だった。特に若い世代ほど、その傾向は強い。1996年の調査結果と比べ、「社外の異業種の人たち」が激減しているのも特徴的だ。(【図表1】)   「最も大切にしているネットワーク」についても、「社内の人たち」がトップ(39%)。「今後、自分の持つネットワークをどうしたいか」に対し、「今のままで十分」という回答者が大幅に増加した(1996 年26.6%→ 2016年61.4%)。一方、「さらに拡充したい」「新たに参加・開拓したい」と回答した“拡張派”は大幅に減り、20代、30代でも20%未満にとどまる。   同調査から、若い世代ほど社内人脈を重視し、ネットワークの拡大意欲が薄れていることが分かる。住友生命保険は「人口減少や成長率の伸び悩みなど日本社会に閉塞感が広がる中、ネットワークについても“今を守る”意識が表れている」と指摘する。   ただ、経営者の意識は社員と異なる。ソニー生命保険の「経営者と社員の意識比較調査」によると、「ビジネス上関係なさそうな人ともつながるようにする」と答えた経営者は33.8%に上り、「(ビジネスとは関係なく)人脈を広げることが後々の財産になる」と考える人が多い。また「社外の知り合いと飲みに行く」「異業種交流会・勉強会に参加する」を挙げた経営者は、社員よりも10ポイント以上高かった。(【図表2】)   社員が「社内人脈」を重視し、ネットワークの拡張に消極的であるのに対し、経営者は「社外の人脈づくり」に精力的に取り組んでいることが分かる。「今を守りたい」社員と、人脈を広げて「今を変えたい」経営者の意識の差が浮き彫りとなった。   変化の激しい時代にあって、自社だけで必要な人材を賄うことは難しい。“その道のプロ”である外部ブレーンの活用は今後、ますます必須になるだろう。   自社に最適な協力者を得るには、経営者であれ社員であれ、日頃から幅広い人脈づくりを意識することが求められる。     【図表1】 あなたが持っているネットワークは?(複数回答) 201704_method-06 出典 : 住友生命保険「『ビジネスパーソンと“ネットワーク”』アンケート実施結果について」(2016年9月8日発表)     【図表2】 ビジネスにおける人脈をどのようにして広げているか(複数回答) 201704_method-07 出典 : ソニー生命保険『経営者と社員の意識比較調査』(2016年5月25日発表)