特集1:価値の魅せる化
2016年4月号
ノビる日本の「麺」輸出日本食ブームと海外在留邦人増加が背景
日本の農林水産物・食品の輸出実績が過去最高となる中、国産の「Ramen(ラーメン)」「Udon(うどん)」の輸出も増加傾向にあるという。
農林水産省『農林水産物輸出入概況』から2015年累計の麺の輸出額をみると、「即席麺」が前年比20.9%増の42.8億円、「うどん・そうめん・そば」も同20.0%増の38.1億円と、それぞれ2桁増の伸びを示した。特にうどん・そうめん・そばは過去最高となっている。(【図表3】)
主な輸出先をみると、即席麺は「香港」(13.9億円)がトップ。次いで「台湾」(5.8億円)、「米国」(5.1億円)が続く。一方、うどん・そうめん・そばは「米国」(11.0億円)がトップで、「香港」(10.2億円)、「中国」(2.8億円)が続く。
麺の輸出が増えている要因は、海外在留邦人の増加(【図表3】)に加え、世界的な和食ブームが背景にある。
海外在留邦人数は129万人(前年同期比2.5%増、2014年10月1日時点)と過去最多になり、10年前(2004年の96.1万人)の約1.3倍となった。また、海外の日本食レストラン数(2015年7月時点)が約8.9万店となり、前回調査(2013年1月時点)の約1.6倍、5年前の2010年から3倍近くも急増している。(【図表4】)
さらに、日本製食品を扱う海外のスーパーマーケットが増えているほか、日本を旅行した外国人旅行客が帰国後、現地で日系ブランド商品の消費を続けていることも、麺の輸出増加を後押ししているようだ。
国内人口は減っているが、海外の日本人人口は今後も増加が見込まれる。海外の日本食需要も衰える気配がみられない。世界の“麺人口”は当面増え続けると予想され、国産麺の輸出もノビていくことが期待される。