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コラム 2026.06.08

『東洋経済』掲載記事に読み解く 〜中堅企業の成長を支える「決断」の力〜


このたび、『週刊東洋経済』2026年5月2日・9日合併号(4月27日発売号)および『東洋経済オンライン』の「すごい中堅企業100」特集において、当社が「中堅企業に強みを持つコンサル会社」として取材・掲載された。

 

システム導入、M&A、業務改善、DX推進など、機能単位で支援するプレーヤーが多い中、当社は一貫して「経営トップと向き合い、成長戦略そのものを共に描く」ことを重視してきた。記事内では、そうした当社のスタンスが「決断を売る」という象徴的な言葉で表現されている。

 

こうして外部メディアから改めて注目を集めた背景には、日本経済において中堅企業の成長の重要性が一段と高まっていること、そしてその成長を支える実践知への期待が、いっそう強まっていることがあると考えられる。

 

本稿では、東洋経済に掲載された内容を手がかりに、外部調査や時流も踏まえながら、いま中堅企業に求められる成長戦略の本質を読み解く。

 

日本経済において中堅企業への期待はますます高まっており、経営全体を見渡した意思決定と実行力が、これまで以上に問われている。

 

どの市場で勝つのか。何を伸ばし、何を手放すのか。何から変え、どこに資源を集中するのか。そうした経営の本質的な意思決定に向き合い、構想から実装まで伴走すること――それが、当社が中堅企業支援を通じて培ってきた価値である。

 

今後の経営の方向性を考える上でのヒントとして、ぜひご一読いただきたい。



2026年の経営課題が示すのは、「部分最適ではもう勝てない」という現実

帝国データバンク「企業の経営課題に関するアンケート(2026年)」を見ると、現在の経営現場が抱える難しさが鮮明に表れている。

 

「重要度が高い経営課題TOP10」では、31 項目に及ぶ経営課題の中から、「人材強化(採用、定着、育成)」が 90.2%と突出し、次いで「既存顧客との取引深耕」66.0%、「販路開拓」60.5%と続く結果となっていた。

 

▼重要度が高い経営課題TOP10 抜粋
• 人材強化:90.2%
• 既存顧客との取引深耕:66.0%
• 販路開拓:60.5%
• 業務の標準化:58.3%
• 賃上げ・人事評価制度への対応:57.6%

 

出所:帝国データバンク『企業の経営課題に関するアンケート(2026年)』(2026年3月4日)



上記は大企業や中小企業も含む「重要度が高い経営課題」だが、中堅企業にフォーカスした分析でもまさに似た傾向が浮き彫りになっている。

 

詳細は「2026年度企業経営アンケート調査から読み解く、中堅企業のトレンドと重点テーマ」を参照されたい。

 

既存事業の成長と新規事業の創出。その両輪で成長を加速させるべき中堅企業にとって、今もっとも求められているのは、点在する施策を一本の線でつなぐ「全体最適」の視点である。

 

帝国データバンクの調査が示す通り、経営課題は人材、営業、利益率、DX、組織制度と多岐にわたるが、これらは互いに連鎖しており、個別に対処するだけでは経営の構造そのものは変わらない。必要なのは、全体をつないだ統合的な意思決定である。

 

東洋経済記事で語られた当社の「決断を売る」という言葉は、まさにここに重なる。

 

自社はどこで勝つのか、何を捨てて何に張るのか、まず何を変えていくのか――そうした一つ一つの“決断”を支えることこそ、不確実な市場で急速な成長を目指す中堅企業の支援における中核であると私たちは考えている。



成長企業には、「売上規模ごとに越えるべき壁」がある

取材記事の中でも紹介いただいた、当社の独自メソッド「1・3・5の成長戦略」は、企業が売上高10億、30億、50億、100億、300億、500億…と成長していく過程の“成長ステージ”を定義し、各段階の課題を打破するのに必要な戦略を提示するものである。

  出所:タナベコンサルティング「中堅企業白書」

出所:タナベコンサルティング「中堅企業白書」

 

規模別にここまで異なる課題があるということは、裏を返せば「今の成功体験の延長線上で次のステージに行けるとは限らない」ということだ。

 

中堅企業の成長を考える上で、成長を直線的に捉えてはいけない。その都度、とるべき経営戦略もそのための手法も最適な形に柔軟に変化させなければ、次のステージには進めないのだ。

 

創業者の目が届く規模では意思決定の速さが強みになるが、規模が拡大すると属人的な運営では限界が生じる。

 

そして一定の売上規模を超えると、営業力だけでなく、組織設計、人材層の厚み、会議体、予実管理、権限移譲など、マネジメントの仕組みそのものが問われるようになる。

 

その都度、必要な戦略も、組織のあり方も、マネジメントの仕組みも変わる。だからこそ、各成長ステージに応じた課題を見極め、自社にとって今何を変えるべきかを判断する視点が不可欠である。

 

『1・3・5の成長戦略』はこちらより無料ダウンロードできます。
長年の支援実績で蓄積した成長段階ごとの臨床に基づくデータをお役立てください。



伸びる中堅企業は、売上至上主義ではない

取材記事で取り上げられたポイントの1つは、「重視すべきは、高い利益率と高いシェア」という視点である。

 

成長というとどうしても売上拡大や規模拡大に目が行きがちだが、重視すべきはそこではない。

 

これが取材記事で取り上げられた背景には、まさに今の中堅・中小企業を取り巻く外部環境の変動が大いに影響していると感じる。

 

不確実性の高い現代においては、リスクを分散させつつ変化に柔軟に対応しながら、「稼ぐ力」や「固有の企業価値」を、持続的に拡大していくことがより重要視されている風潮にある。

 

その上で、「高い利益率と高いシェア」を重視することはより重要な意味を持つ。

 

営業利益率10〜12%以上といった高い利益率を誇る優秀な中堅企業の多くは、勝てるニッチ市場を見つけ(1000億〜3000億円程度)、20〜30%の圧倒的なシェアを取ることでこれを実現している。

 

重要なのはやみくもに売上拡大を目指すのではなく、あくまで、自社のビジョンや固有技術の延長線上の“戦略”を持って、自社の規模に見合った“経営体制”に移行することである。



M&AもAI・DXも、成長手段であって目的ではない

中堅企業の経営現場で、しばしば成長の切り札として語られるM&AやAI。

 

どれも有効な打ち手であることに変わりないが、ここでも重要なのは「自社のビジョンや勝つ領域に基づいて最適な手段を選ぶスタンス」である。

 

取材記事でも、当社の伴走支援のあり方に触れられているが、それはまさにこの考えに基づくものである。

 

そしてこれは、今の中堅企業にとって非常に重要な視点の1つである。

 

生成AIやデジタルツールが急速に普及する中、乗り遅れれば競争力の差が広がるという焦燥感を、多くの企業が少なからず抱えているのではないだろうか。

 

帝国データバンクの調査でも、「業務改革・DX」に関する経営課題として、特に「AI活用」「業務プロセスのDX化」「データ活用基盤の整備」では、大企業と中堅企業が小規模企業を大きく上回る結果となっている。そこからは、企業規模が大きいほど、改革やDXの推進に難しさを抱えやすいことがうかがえる。

 

M&Aやグループ経営という選択肢に関しても、ひと昔前までと違い、むしろ積極的に取り入れるべきだという風潮がある。

 

昨今CXやUSPなどと企業の差別化の重要性が解かれる中、それによって「他社が模倣できないUSP」や「強固なCX基盤」を手にしようと考えるのも当然の流れだ。

 

しかし狙い通りのシナジー効果を生み出すには、その手前の十分な前提条件の整備と、緻密な設計が必要不可欠である。

 

戦略なき統合、戦略なき導入では成果につながらない。

 

重要なのは、いかに手段がビジョンとリンクし、「自社固有のさらなるクリエイティブな価値創出」をブーストする機能として生かせるかどうかである。

 

今回の取材テーマは、中堅企業が直面する課題を映し出すものであると同時に、中堅企業の経営者が関心を寄せる成長戦略上の論点とも軌を一にするものと捉えている。本取材を通じて見えてきた、いま中堅企業が経営戦略において持つべき視点は、以下の3点である。

 

第一に、経営課題を“点”ではなく“構造”で捉えること。人材、営業、利益率、DX、組織、制度は、個別の論点でありながら密接につながっているこれらを、テーマごとの対策に終始するのではなく、経営全体のつながりの中で設計することが重要である。

 

第二に、自社の成長ステージを見極め、次の壁に備えること。企業は売上規模の拡大とともに、直面する課題も変化するため、今のやり方の延長で次の成長が実現するとは限らない。自社の現在地を冷静に捉え、次のステージに向けて戦略・組織・マネジメントを適応させる視点が求められる。

 

第三に、経営の意思決定から逆算した最適な手段を選ぶこと。M&Aも、AIやDXも、成長のための有効な選択肢。しかし、それ自体は目的ではなく、重要なのはどこで勝つのか、何を強みにするのか、どの価値を伸ばすのかを見極め決断すること。その意思が明確になってこそ、手段は成果につながる。

 

1社でも多くの中堅企業が、経営の本質に根差した「決断」を行えるよう、今後も実践に役立つノウハウと情報を発信していく。






【タナベコンサルティンググループの関連サービス】

中長期ビジョンコンサルティング
https://www.tanabeconsulting.co.jp/vision/service/basic_plan/

 

FCCサミット
https://www.tanabeconsulting.co.jp/seminar/fccs/

 

【参考資料】

帝国データバンク「企業の経営課題に関するアンケート(2026年)」
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260304-management-issues/

 

東洋経済オンライン「「決断を売る」独自メソッドで"圧倒的な長期契約"を獲得…タナベコンサルGが中堅企業の治療で成長し続ける極意」
https://toyokeizai.net/articles/-/942895?display=b