vol.10 不適切な日本語がコミュニケーションを阻む?
2016年7月号
もっと知りたい人にお薦めの書籍
さて今回の記事、「勉強くさくてつまらなかった」とお感じの方にこそお薦めしたい本があります。
先ごろ発売された話題の新書『不適切な日本語』(梶原しげる著、新潮新書)です。
私が書き上げた、「微妙な言葉」に鋭く切り込む痛快な1冊として評判をいただいております―などと、のうのうと言ってしまいました。すいません……。
拙著では、今回記した「誰もが疑問に思うもの」というより、「あまり疑問に思わないかもしれないものに疑問を挟み、土足でどんどん踏み込んで、時には勝手に「不適切!」の烙印を押してしまったり、絶賛したりしています。
例えば、2016年に結婚した、タレントのDAIGOさんと女優の北川景子さん、歌舞伎役者の片岡愛之助さんと女優の藤原紀香さん。この2組の結婚を「えらい!」と絶賛しています。
何のご縁もないこの方々を勝手に称賛した理由は、彼らの結婚報告で使われた、「ある言葉」にあります。一般的に芸能人本人も、それを報じる芸能マスコミも、これまでこの2組のカップルとは異なる「ある言葉」を無反省に用いていました。「そういえば……」とあらためて思い出す方もいらっしゃるでしょう。
そのほか、「元気」は他人に、もらったりあげたりできるのか? また、あの超有名キャスターは4半世紀にわたって担当した番組で、なぜ「あの言葉」を一度も使わなかったのだろう? などと、「人間がどういう価値判断で言葉の選択をするのか?」をまとめています。
今回の拙稿にもつながる「人に話したくなる話題満載の1冊」をぜひお楽しみに!―と、最後は宣伝で、これまた失礼いたしました。
これに懲りず、来月もぜひこのページでお会いしましょう!
筆者プロフィール
梶原 しげる (かじわら しげる)
早稲田大学卒業後、文化放送に入社。20年のアナウンサー経験を経て、1992年からフリーとしてテレビ・ラジオ番組の司会を中心に活躍。49歳で東京成徳大学大学院心理学研究科に進学、心理学修士号取得。東京成徳大学経営学部講師(口頭表現トレーニング)、日本語検定審議委員も務める。
新刊案内!
不適切な日本語
梶原しげる著/新潮新書
821円(定価)