その他 2015.11.30

vol.3 風通しの良い職場づくりに 絶好のチャンス到来!
梶原しげる

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2015年12月号

3.孤立している人を見つけたらコネクティングさせ、リレーションを付けてあげる

仲間とうまく打ち解けられない2人を見つけたら、ごく自然な形で結び付けるように声掛けし、共通点を探り出します。目に留まったことや、事前に読み込んだ資料を思い出し、両者の関係性を指摘することでつなげていきます。
 
「焼酎はお隣の〇〇さんだったか。あ、ひょっとして、2人とも実家は九州じゃなかったっけ?」
まるで今ひらめいたように、仕込んでおいたネタを引っ張り出して、気まずそうなお隣さん同士を結び付けるという具合です。これも大事なテクニックです。
 
「おいおい、おれは、座持ちのいい太鼓持ちか!」とお怒りのあなた。ズバリおっしゃる通り! あなたの役割はそれに近いのだと覚悟しましょう。
 
あなたはもてなされる側ではなく、おもてなしをする側だという認識をしっかり明確に持っていただくためにも……。

4.説教はするな、教訓は垂れるな、武勇伝は語るな!

会社の飲み会に出たくない理由に「上司が熱く語る3つの話」が上げられます(梶原独自調査より)。
 
説教「若いんだから、もっとガンガン飲んだり食べたりしないといけない。貪欲であるとは若さの特権だ。ところがだ! どうかね君、最近の若者は? ゆとり世代だの草食男子だのご託を並べる暇があったらだ、まず食べる、すなわちだねえ君……」
 
若手「……(もう、分かったよ……)」

 
教訓「若い君に伝えたいのは3つの気が大事だということです。やる気! 元気! 負けん気! この3つの気があれば怖いものはない、3つの気。やる気とは……」
 
若手「…………(くどい)」

 
武勇伝「君は警察につかまったことがありますか? 僕は2度ある。東大紛争、そして70年安保。権力に弾圧され、やっと釈放され、渡米してハーバード大学を出て帰国。そして今がある。君はどうだ?」
 
若手「……(ところであんた年齢はいくつなの?)」

 
熱く語る、オヤジのドヤ顔がうっとうしくて仕方がありません。

 
若い世代との共通ネタが見つからないと、ついこの3つのどれかを話し始めてしまいがちなのがオヤジ世代の特徴です。話す側は気分も高揚、おじさん絶好調のこの話題が、若い世代には最も嫌われるものだと知っておくことが必要です。

 
飲み会の3大タブー=「説教・教訓・武勇伝」は暗記しておきましょう!

5.年上の部下にはしっかり敬語で話す。職場を離れたら人生の先輩を立てる

「〇△さんには、いつも助けてもらってばかりで、本当に感謝しております。なにかこちらのテーブルで足りないものがございましたら、なんなりとお申し付けください」
 
「あ、〇△さん! 危ない、足元! 段差!! ……ふー、よかった。大事なわが社の大黒柱ですから、お気を付けくださいますように……」
 
入社年次は3年も上で、いまは嘱託社員の〇△さんです。日頃は忠実な部下として粛々と業務をこなしてもらっています。上司としてきつい言葉も投げ掛けます。しかし、この宴席では職務上の立場や役割を離れ、一人の人間対人間として、筋を通す自分の姿をしっかりと周囲に見せつけます。
 
「いつもは偉そうなあの人が、場面が変わればこういう態度なのか……。年長者をリスペクトするけじめを心得た、立派な上司だったんだなあ」

 
会場をほのぼのとさせる光景です。実はこれが部下掌握術の1つでもあります。

いかがでしょうか?
 
先に述べた5つの要件を満たせば、「飲みニケーション」=「嫌い・うざい・くだらない・迷惑・無意味・パワハラ」という「世間の評判」を払拭できそうな気がしませんか?

 
「冗談じゃない、そんな社内の飲み会、こっちが願い下げだ!!」。激怒する上司の気持ちも分からないではありませんが、そのくらいの覚悟がないと「飲みニケーション」が職場の風通しを良くすることにはならないのも事実、のようです。

今年の忘年会、どうなさいます?


筆者プロフィール
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梶原 しげる (かじわら  しげる)

早稲田大学卒業後、文化放送に入社。20 年のアナウンサー経験を経て、1992 年からフリーとしてテレビ・ラジオ番組の司会を中心に活躍。49 歳で東京成徳大学大学院心理学研究科に進学、心理学修士号取得。東京成徳大学経営学部講師(口頭表現トレーニング)、日本語検定審議委員も務める。

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