vol.3 風通しの良い職場づくりに 絶好のチャンス到来!
梶原しげる
2015年12月号
嫌われ者の「飲みニケーション」
「忘年会? 友達やご近所とはやるよ。 会社の飲み会? いやあ、勘弁だなあ」。
今や、若い社員だけでなく管理職たちも、「社内の飲みニケーション」を歓迎しない傾向にあるようです。
私が講演会でお目にかかる企業幹部や組合役員の多くも「今は、なかなか難しいですねえ」とおっしゃいます。「飲みニケーション」でネット検索しても、「嫌い・うざい・くだらない・迷惑・無意味・パワハラ」というネガティブな言葉が次々ヒットします。
昔話で恐縮ですが、私がサラリーマンだった20年前。すでにバブルは崩壊し、景気も思わしくはなかったのですが、私の所属した放送業界に限らず「上司が部下を誘った会社の飲み会」はごく普通に行われていました。
当時は今ほど財務もシビアではなく、仲間同士で飲んだ領収書を経理は「知らん顔して」経費で落とす「伝統(悪習)」が残っていたこともあったのでしょう。上司も部下も懐具合を気にしなくて済んだようです。
「今夜あたり、一杯どうだ?」。上司が部下を誘っても、「それは業務命令ですか?」と冷たく切り返される可能性は、今よりずっと低かった気がします。上司や先輩、部下が入り乱れ「うちの会社の未来」について口角泡を飛ばして議論を戦わせていました。
上司の説教くさい態度にかみついてけんか腰になり、翌朝二日酔いの抜けない顔でわびを入れたら「いやいや、こっちも言い過ぎた」と、笑って許してくれた部長の照れくさそうな笑顔が忘れられません。
後から考えれば、こういうことを繰り返すことで「愛社精神」とか「業界への理解」が育まれていったように感じます。一人前のビジネスパーソンとして成長する上で、単に仕事という「役割交流」を超えた、先輩・上司との「感情交流」も必要だったと、当時を懐かしんでしまいます。