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【メソッド】

+Difference(タナベコンサルティング副社長コラム)

タナベコンサルティンググループの副社長・長尾による連載。経営環境や市場トレンドを踏まえ、企業経営の未来に向けて提言します。
メソッド2024.02.01

ユニークな戦略:長尾吉邦

「あなたの会社の戦略は何ですか?」との問いに、どのように返答されるだろうか。

 

この問いに対する、経営者の第一声の多くは「戦略…?」である。そして、しばらくの沈黙後、自社の経営理念やパーパスについて、あふれ出るほどの熱意を込めて話をされる。

 

策定した中長期ビジョンについても、「海外売上高を300 億円まで伸ばしたい」「経常利益率10%を達成したい」など、強い意志でビジョン・目標を語ってくださる。ただ、あらためて「戦略は何ですか?」と問うと、やはり「戦略…?」となってしまう。

 

戦略の定義はさまざまだが、タナベコンサルティング創業者の田辺昇一は「勝てる場の発見と勝てる条件づくり」、経営学者のピーター・F・ドラッカーは「顧客に価値を創造するユニークな方法に焦点を当てることで、競争優位を築くためのポジショニングである」(コーネリス・A・デ・クルイヴァー、ジョン・A・ピアース2世著『戦略とは何か~ストラテジック・マネジメントの実践』東洋経済新報社、2004 年)と定義している。

 

驚くことに、両氏は同じことを言っている。すなわち、「独自性(ユニーク)、独自のマーケット、独自のやり方」により競争優位のポジションを築き、「唯一無二の存在」となることである。

 

では、独自性はどこから生まれるのか。それは、例外なく「強み」から生まれる。得意満面で言うわけではないが(笑)、私はクライアントの強みと戦略を可視化することに自信があり、好きである。その会社の創業の精神や歴史を深く掘り下げていくことから始め、経営者と社員が「顧客の“ 困難な求め” を、“ 現場” で解決し続けてきたこと」が強みになっている。

 

すなわち「やり続けていること」が強みであり、未来のニーズに向けてそれを磨き、追求していくことで、唯一無二のポジションを築くことが戦略なのである。

 

「なんだそんなことか」と思うかもしれない。しかし、戦略を可視化する価値は大きい。経営者や社員が自らのアイデンティティーに誇りを持ち、戦略に向けた判断や実行に迷いがなくなるからだ。

 

「あなたの会社の戦略は何か?」。その答えは、自社を唯一無二の価値へといざなうものとなる。

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