「ワクワク&ワンチーム」でExcitingなグループ経営を推進:セトラスホールディングス
共通の源泉は、瀬戸内海の海水から採取するマグネシウム。展開する2つの事業を、ホールディングス化と分社化によるグループ経営へと変革し、未来にも持続するグローバルな自社像の実現に挑む。
瀬戸内海から世界に向けて、オリジナリティーある技術やビジネスモデルを発信する――。そんな思いを込めて、グループ経営へと一歩を踏み出したのがセトラスホールディングス(以降、セトラスHD)だ。
2022年8月、設立70周年を迎えた協和化学工業の事業組織を再編し、管理部門や研究開発部門を保有する持ち株会社としてセトラスHDを設立。医療用医薬品部門を分社化したマグミット製薬や、海外グループ会社を含め8社で構成する、グローバル展開のセトラスHDグループが10月に始動した。経常利益10%超で無借金経営という、優良企業である協和化学工業が自社変革でグループ経営へかじを切った理由を、代表取締役社長の木下幸治氏は次のように語る。
「プラスチック原料の樹脂添加剤をBtoBでグローバル市場に供給する化学品原薬事業と、医療用の緩下剤・マグミット®錠をBtoCで国内販売する医療用医薬品事業。協和化学工業の2つの異なる事業領域を強化拡充し、新しいバリュー・プロポジション※を付加していくために、分社化してそれぞれで独自の戦略を進めていこうと考えました。
また、海洋汚染防止など脱プラスチックの機運が高まり、変転が続く事業環境にさらなる激震が起きる時が必ず来ます。第3、第4、第5のコア事業に育つ新たな事業領域を創り出すdiversification(多角化、リスク分散)にもつなげて、将来の在りたい姿とそこに至るステップを、より分かりやすく描き出す狙いがありました」
総合商社の営業として世界を舞台に活躍し、協和化学工業のビジネスパートナーも務めた木下氏は、独創性の高いバリュー・プロポジションとして市場の高評価を実感。2012年に入社後はオーナー経営からパブリックカンパニーへ変身を遂げる推進力となり、社長就任から1年半でグループ経営を実現した。
「とにかくできるだけ早く体制を組み立てていけるように意識しました。社員が自分で考え、行動し、ボトムアップで会社を動かしていく姿に早くなりたいという思いでした。与えられた仕事と、白紙のキャンバスに絵を描く仕事。どちらが面白いか、私は明らかに後者です。自分の手で線を引き、色を着けていくワクワク感ある仕事でなければ、既存事業の拡充強化も新事業の多角化も実現できないでしょう。一事業一企業で互いに競争意識を持って切磋琢磨し、その戦略を見ながらホールディングスがうまくコミュニケーションを取る体制になる。その姿を目指して、タナベコンサルティングの支援を受けながら走り出しました」(木下氏)
同社が進みゆく道しるべが「Exciting SETOLAS」である。社長就任の第一声で「風通しを良くしよう!」とメッセージを発信した木下氏の思いがExcitingの文字に込められている。例えば、EにはEnthusiastic & Humble having Enpathy(情熱や共感力を持つ大切さを)の頭文字を当てがった。
社員一人一人が独自性のある新たなことに挑み、ワクワクした仕事をすることが未来を創り出すというメッセージである。オフィスや工場など、全社にポスターを貼ることでスローガンを見える化し、日常に息づく合言葉となっている。
※1 顧客にとって価値ある機能を提供する自社製品・サービス