DXや「働き方改革」の推進に欠かせないパートナーとして、顧客の課題解決を支援するシステムインテグレーター・日立ソリューションズ。自らがソリューションモデルであるべく実践する「人財の価値を最大化する戦略」に迫る。
日立グループの一翼を担うシステムインテグレーターである日立ソリューションズ。「個人の幸せと企業の成長の両立」を掲げる本格的な働き方改革を始めたのは、2016年のことだ。(【図表1】)
【図表1】日立ソリューションズの「働き方改革」の流れ
「ワークスタイル変革のITソリューション事業を立ち上げるのに、自社が推進していないと説得力がない。そんな課題認識から、柔軟な働き方で社員が能力を発揮できる環境を最大化し、事業創生・拡大につなげる全社運動として、『働き方改革』がスタートしました」
そのように語るのは、経営戦略統括本部 チーフエバンジェリスト兼人事総務本部本部員である伊藤直子氏。推進プロジェクトに参画したプロセスや成果を、語り部として顧客の変革支援に生かす姿は、まさに「伝道師」だ。
テレワークやフレックスタイム、サテライトオフィスを導入する「柔軟な働き方」、定時退社や業務の無駄取り・自動化による「残業削減」、より良い企業文化づくりへの「コミュニケーションの活性化」。これらの取り組みによって残業削減も大きく前進。定時退社日の設定や月1回の年休取得などの目標を決め、細やかにフォローすることで、年間の総労働時間が2000時間超から1900時間未満に減少した。
伊藤氏とともに推進役を担い、人事施策を立案してきた人事総務本部担当本部長の井上正人氏は、取り組みのビフォア・アフターを次のように振り返る。
「IT業界は深夜を含む長時間労働や休日出勤が当たり前といった状況でした。見積もりや納期計画のプロジェクトマネジメントも残業が大前提でしたが、『残業なしを、当たり前に』と伝え続けることで、働きやすさに対する社員の意識や職場風土が変わりました」
残業を重ねるとトラブルが起きやすく生産性も下がる。無理のない仕事になるよう、納期や見積もりをチェックする体制を確立した。
「赤字につながるトラブル案件が激減しました。利益など業績数字にも良い影響が表れていますよ」と伊藤氏は笑顔でうなずく。
3つの軸で推進した「働き方改革」は、コロナ禍によって一気に加速した。2020年に全社員が原則、在宅勤務になり、インフラ環境や社内規則も整備。社員の9割がテレワークを利用し、在宅と出社のハイブリッドでライフスタイルに合う働き方を選ぶようになった。
働く時間や働く場所を本人の裁量に委ね、社員の自主性・自律性を尊重する方向に大きくかじを切った。
同時にアフターコロナに向けたワークスタイル変革やDXへの旺盛なIT投資意欲が追い風となり、業績目標を着実に実現してきた。