休業・時短要請など終わりの見えない逆風にさらされている外食産業。だが、危機感から活路を見いだした企業がある。外食産業記者会の「外食アワード2020 中間流通・外食支援事業者部門」を受賞したフードサプライだ。
受賞理由は、新たな食品の流通チャネルとして一般消費者向けの非接触販売「ドライブスルー八百屋」を立ち上げ、成功モデルにしたことである。飲食店向けに特化した卸売りビジネスを展開していた同社は、7都府県に緊急事態宣言が発出された2日後の2020年4月9日、需要が激減して行き場を失った業務用食材を、一般消費者に格安価格で提供し始めた。
ドライブスルー式で接触を最低限に抑え、各地で場所と販売(引取)日を決めて、20種類以上の青果や卵、コメ5kg付きの「もったいない野菜セット」(税込5000円)など、新鮮でおいしい食材を予約注文限定で販売。口コミは全国へと拡大し、2020年末までに最大で30カ所を開設、6万人以上が来場した。外出できない消費者に「美味しく、安く、健康」な青果物の購入機会を提供し、大切に育てた野菜を大量の廃棄ロスから救う生産者支援にもつながっている。また、このノウハウを魚・肉卸業と連携し、「ドライブスルー魚屋」「ドライブスルー肉屋」も誕生させた。
さらに、車がないと利用しにくい「ドライブスルー八百屋」の進化形として、より多くの消費者においしい青果を供給できる個人宅配の新サービス「デリバリー八百屋」を2021年1月に始動。定期宅配サービス「青果BOX」を開始した。
BtoBとBtoCの流通の壁を打ち破り、新たな販売チャネルを切り開いたフードサプライの目指す姿は、野菜のライフラインをつくる企業である。生産者は農家と自社農園から、市場は外食産業と消費者へ。これまでにない複合調達・供給のニューノーマルなビジネスモデルを農業インフラに変える挑戦は、コロナ禍の終息後も、飛躍を遂げる可能性を秘めている。
PROFILE
- (株)フードサプライ
- 所在地:東京都大田区東海1-3-6 プロロジスパーク東京大田6F
- 設立:2009年
- 代表者:代表取締役 竹川 敦史