その他 2021.05.06

IoTで3密リスクを見える化し、「マイクロツーリズム」を充実:星野リゾート

 

 

3密回避システムで大浴場などの混雑状況を可視化
大浴場の利用・混雑状況を「笑顔(緑色)、通常顔(黄色)、苦い顔(赤色)」で可視化し、アプリに表示。遠隔メンテナンスによりスタッフの
常駐も不要で、業務負担を解消した。顧客の目に触れても違和感のない人感センサー(左)は簡単に設置でき、現場に溶け込んでいる

 

 

「旅は魔法」をミッションに掲げ、感動ある時空間のホテル・温泉旅館というコンセプトで、日本だけでなく世界にもリゾート施設を展開する星野リゾート。コロナ禍でホテル・観光業界が苦境に陥る中、徹底した衛生管理と3密(密閉・密集・密接)回避の見える化で、顧客の不安を安心に変えることに成功している。

 

緊急事態宣言に先駆けて、2020年3月にはウイルス予防策で安心な空間を提供する18カ月スパンの長期計画を策定。6月から日本全国24カ所の宿泊施設に導入したのが、3密のリスクが高まる大浴場などの混雑状況を可視化する独自のIoTアプリ「3密回避システム(混雑状況可視化システム)」だ。人感センサーが空間情報を検知し、安心して利用できるタイミングの判断基準をリアルタイムに提供。顧客からは「コロナ禍が終息しても続けてほしい」と満足度の高い声が相次いでいる。

 

また、2020年4月から、リゾート施設の立地や自然風土、文化を大切にし、料理やアクティビティーを通して地域固有の魅力を再発見する「マイクロツーリズム」の提唱を本格化。自宅から片道1~2時間程度で足を運べる近距離の旅行として人気を集めている。

 

インバウンドの宿泊客が過半数を占めた「星のや京都」(京都市西京区)では、京文化をテーマにしたマイクロツーリズムを企画し、8月には近畿圏からの宿泊客が4割まで上昇。単月の全体稼働率も約80%まで回復した。また、「界 遠州」(静岡県浜松市)も茶畑や茶風呂の体験プログラムで中部圏の宿泊客が5割を超え、リピート利用も増加して8月の全体稼働率は90%を超えた。

 

3密対策を追求しながら「観光スタイルのニューノーマル」を構築し、2020年7~11月まで例年並みの利益を計上した星野リゾート。アフターコロナ時代にも、旅や滞在をゆっくりと楽しむラグジュアリーホテルとして、また注目が高まるワーケーションの受け皿となって、観光産業や地域経済へ持続的な貢献を果たしていく。

 

 

 

PROFILE

  • (株)星野リゾート
  • 所在地:長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉2148
  • 創業:1904年
  • 代表者:代表取締役社長 星野 佳路