その他 2020.05.29

会計ソフトとクレカ連携で精算を劇的に減らす:freee(フリー)

 

 

クラウド会計ソフトで業界シェアトップのfreee(フリー)。会計業務の省力化を進める一方、ユーザー向けに事業用クレジットカードを発行することで法人のキャッシュレス化を促進し、企業経営のサポートを強化している。サービス導入のメリットについて話を聞いた。

 

 

「クラウド会計ソフトfreee」で経理業務を削減

 

クラウドシステムを通じて法人・個人向け会計ソフトや人事労務ソフトなどを提供し、2012年の設立以来、急成長を続けているのが、東京・五反田に本社を置くfreee(フリー)である。社名の由来は、小規模な法人や個人事業主など、スモールビジネスに携わるユーザーを業務の負担から「解放する(free)」という意味合いを持つ。また、会計業務を高速化させる事業内容の象徴として、シンボルマークには「世界一速く飛ぶ鳥」として知られるツバメを採用している。

 

「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」の実現を目指す同社。スモールビジネスの担い手を主なターゲットに、本業の負担となる会計業務や人事労務などの簡略化を可能にするサービスを提供し続けている。

 

ミッションを果たすための同社の価値基準の一つは、「本質的(マジ)で価値ある」。これは、「ユーザーにとって本質的に価値がある」と自信を持って言えるサービスを提供するという意味だ。せっかく起業しても、売り上げや経費などを管理する経理業務に時間を取られ、開発や営業など肝心の業務に集中できない事態に陥っている企業は少なくない。freeeはこうした管理業務の手間を徹底的に排することで、起業家が本業で格好よく活躍できる社会にしたいという思いのもと、サービスの向上に努めている。

 

そんな同社が提供する人気サービス「クラウド会計ソフトfreee」は、自動仕訳などの機能を用いることで、簿記の知識がなくとも、日々の記帳だけで年度の締め、確定申告までを一気通貫で行うことができる。そのため、個人事業者やベンチャー企業、中小企業など、経理業務の効率化、省力化を図りたい事業者から高く評価されている。

 

同ソフトは、経理業務にひも付ける形で見積書や納品書、請求書、領収書の発行を迅速に行える。見積書を発行して商品・サービスを提供した後、見積書のデータを引用するだけで納品書や請求書を発行できる、請求書を発行すると自動的に売り上げに計上されるなど、請求業務一つをとっても大幅に効率化できる。なお、同社が提供するクラウド会計ソフトを利用している事業者数は、2018年4月時点で100万社を突破し、業界シェアは35%(2017年9月時点、BCN調べ)と国内トップである。

 

 

事業用途を追求した「freeeカード」

 

freeeが追求する業務の効率化は会計や人事労務だけにとどまらない。ユーザーが起業した直後から直面する資金繰りに至るまで、事業者の声に応えられるよう充実したサービスを提供している。そのうちの一つが、事業用クレジットカード「freeeカード」だ(【図表1】)。

 

 

【図表1】事業用クレジットカード「freeeカード」のメリット

 

 

従来、クレジットカードの発行というと、審査に時間がかかる上、開業直後の個人事業者は審査に通りにくい、もしくは通っても利用限度額が低いといった課題があった。

 

そこでfreeeは、信販会社との共同開発で、事業に見合ったカードの発行を実現。そのうちの一つ「freee MasterCard」は、申し込みをウェブ上で完結させ、最短4営業日で発行可能とした。個人事業主には、申し込み前に発行が可能かどうかチェックできるサービス「1秒診断」も用意している。

 

同カードの利用限度額は、クラウド会計ソフトfreeeを利用している場合、ショッピング枠として30万~300万円(税別)に設定。ソフトとの連動によって、同カードで消耗品を購入した費用は自動で仕訳られる。さらには、人材採用SNS「Wantedly」(ウォンテッドリー)の有料プランを初月無料で、また事業者向け通販サイト「モノタロウ」の10%割引クーポンを提供するなどの限定特典があるほか、最低限度額設定が有利になり、短期で限度額アップが可能だという。

 

同社では、他にも「freee VISAカード」や「freeeセゾンプラチナビジネスカード」などをラインアップしており、ニーズに応じて最適なものを選ぶことができる。

 

「個人用のカードで経費を支払った場合、個人の出費と事業用経費を分類する手間がかかります。これに対して、当社の事業用カードを持つことで、経費処理の効率化が可能です。また、従業員カードを併せて利用することで、従業員の経費の仮払いや立て替え業務も格段に便利になります」。そうfreeeカードのメリットを話すのは、同社の金融事業部クレジットカード事業責任者である佐々木駿氏だ。

 

実際にfreeeのカードを利用している事業者からは、「コストも時間も節約できた」という声が寄せられている。というのも、従来、事業者の多くは決まった仕入れ先から原料や資材などを購入する傾向が強い。長年の商習慣や人間関係の元では必要なこともあるが、ECサイトを検索するといつもの仕入れ先よりも安い値で調達できることが少なくない。また、クレジットカードを利用して後払いとすることで、資金繰りの改善につながるメリットも見逃せない。

 

 

※新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響を踏まえ、2020年4月現在は10万~300万円(税別)に設定