その他 2019.08.30

カンバンを全社に浸透しさせ、作業時間、精神的負担を大幅に軽減:ヴァル研究所

 

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業務が属人的にならないよう、ホワイトボードをフル活用して見える化。作業時間を大幅に軽減し、コミュニケーションの活性化にも成功した。その秘訣はどこにあったのか。

 

林立するホワイトボードで全てのタスクを見える化

壁という壁を埋め尽くすホワイトボード。オフィススペースはもちろん、バックヤードにもホワイトボードの林が増殖している。市販のボードでは狭すぎるとばかり、白く大きなシートをじかに貼り付けて、巨大なホワイトボードと化した壁もある。また、スペースが足りなかったのか、プラスチック製の段ボールを使って自作したホワイトボードが、立て掛けられている壁もあった。

その上にはタスクが書き込まれた大量の付箋がひしめき、ボードを前にスタッフが「こうかな」「こうじゃない」と言葉を交わしながら、付箋をさらに貼り足したり、別の場所に貼り直したりを繰り返している。

「作戦基地のようでしょう?ホワイトボード前のスペースが、仕事上の『問題』という敵をやっつける場になっているんです」

そう言って目を細めるのは、この“ホワイトボード作戦”を仕掛けたヴァル研究所SoR Dept. 部長の新井剛氏だ。

同社は経路探索ソフト「駅すぱあと」で知られるソフトウエア開発企業。1988年に発売された駅すぱあとは、電車の経路探しを時刻表で確認するというそれまでの常識をがらりと変えた。いまやさまざまな経理ソフトやWebサービスの中に組み込まれており、電車を利用する人は、多かれ少なかれその恩恵にあずかる。そんなサービスを生み出すオフィスの風景は、意外なほどアナログだ。

ホワイトボードの多くは、縦に「ToDo(するべきこと)」「Doing(進行中)」「Done(終了)」と3エリアに区切られ、横にその部署のスタッフ名が並ぶ。付箋に記されているのは、その部署が抱えるタスクで、スタッフ全員で協議しながら、各メンバーに仕事を振り分けていく。いわゆる「カンバン」だ。

Doingエリアは月曜日から金曜日までの曜日にさらに細分化されている。総務部では、毎週金曜日に全員でミーティングを行い、来週にやるべきタスクを洗い出している。それを付箋に書いていったんToDoエリアに貼り、各スタッフが「これは私がやります」と手を挙げ、自分の行の目標とする曜日の欄に貼っていく。終わったタスクはDoneエリアにどんどん移動させていくルールだ。

ヴァル研究所の主力サービス「駅すぱあと」。最適な交通経路を瞬時に調べられる

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