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100年経営対談
100年経営対談
成長戦略を実践している経営者、経営理論を展開している有識者など、各界注目の方々とTCG社長・若松が、「100年経営」をテーマに語りつくす対談シリーズです。
100年経営対談 2018.01.31

「社会システム産業」の構築をビジョンに掲げる会社 セコム 代表取締役社長 中山 泰男氏

 

創業の精神が根底にあるから、
変化する時代に求められる
サービスイノベーションが生まれる。

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次の時代を守る「あんしんプラットフォーム」

 

若松 2017年の創業55周年を機に、「セコムグループ2030年ビジョン」を発表されました。その中で2030年に向けた「あんしんプラットフォーム」構想を打ち出されています。「社会システム産業」と「あんしんプラットフォーム」。この2つをつなげることでセコムが目指す方向性がより明確になったように感じます。

 

中山 時間や空間にとらわれない「いつでも、どこでも、あんしん」。一人一人に寄り添った「誰にとっても、あんしん」。安心にフォーカスした「切れ目なく、ずっと、あんしん」。これが、あんしんプラットフォームの特徴です。セコムの強みは、「事前の備え」「事態の把握」「被害の最小化」「事後の復旧」という「セコムのあんしんフロー」でトータルに対応できること。例えば、「オンライン・セキュリティシステム」によるリスクの備えから、保険事業による被害の復旧まで一貫して手掛けていることで、点ではなく線として、さらにはさまざまな日常のリスクに対応することで、面として「安全・安心」をサポートする。これはセコムならではの競争力です。

 

若松 総合力があるから、顧客起点のサービスイノベーションを起こすことができる。技術から出発すると点のサポートサービスにとどまってしまいがちですが、創業が「安全・安心」という社会課題の解決という王道コンセプトからスタートされたことが、今日の総合力につながっています。私たちのコンサルティングモデルも「会社がなくなると社員やその家族が不幸になる。だから企業を救う」をミッションとして、創業者が“発明”したところに存在理由があると認識しています。社会的使命がビジネスモデルに奥行きと広がりを生み出していくのだと私は考えています。

 

中山 同感ですね。創業の精神が根底にあるから、変化する時代に求められるサービスイノベーションが生まれる。もう1つ加えるなら、技術力も圧倒的な競争力を生み出す源です。セコムは、1980年代に「開発センター」や「IS研究所」を設立するなど、理想のサービスを実現するために技術の向上に多くの力を注いできました。さらに、2016年からは「オープンイノベーション」によって、お客さまも気付いていない「まだ見ぬ安心」の実現に向けて思いを共にするパートナーと協働し、創造を加速させています。

 

若松 潜在的ニーズにアプローチをするには、社会の変化やお客さまを深く理解することが不可欠です。どのように需要を捉えているのでしょうか。

 

中山 セコムには強い現場力があります。お客さまと接しているのは現場ですから、そこにヒントがあると私は考えています。現場からニーズを吸い上げる仕組みをつくり、現場と本社がコミュニケーションを増やしながら需要創造していく。現場と本社の思いの同期化が鍵となります。また、社会課題が複雑化、複合化する中、「安全・安心」はミッションクリティカル(必要不可欠)なものとなっていますが、それはセコムが担うべき領域が広がっていることを意味しています。例えば、想定外の事態が起こると、人も時間もコストも待ったなしで投入せざるを得ず、生産性は一気に落ちてしまいます。「セコムのあんしんフロー」で想定外を想定内にするとともに、人手不足を背景に高まるアウトソーシングニーズに応えるセキュアなビジネスサポートで、社会の流れ・日常の流れを止めないサービス、さらには一段と効率的な流れを実現することで、社会の生産性とレジリエンスを高めるお手伝いをしていければと考えています。

 

若松 1964年の東京オリンピック以降、セコムのビジネスモデルは社会から求められて成長しました。来る2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、「安全・安心・快適・便利」は重要なテーマです。そして、さらにその先の100年企業に向けてサービスイノベーションを起こし、発展されることを心より祈念申し上げます。本日はありがとうございました。

 

 

セコム 代表取締役社長 中山 泰男(なかやま やすお)氏
1952年、大阪府東大阪市生まれ。1976年東京大学法学部第2類卒業、同年日本銀行に入行。1993年企画局政策広報課長、1996年営業局金融課長、1998年金融市場局金融市場課長、1998年大分支店長、2001年政策委員会室審議役、2003年名古屋支店長、2005年政策委員会室長、2007年総務人事局を経て、同年4月セコムに入社、顧問に就任。常務取締役総務本部長を経て、2016年5月より現職。

 

タナベ経営 代表取締役社長 若松 孝彦(わかまつ・たかひこ)
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。関西学院大学大学院 (経営学修士)修了。1989年タナベ経営入社、2009年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。『100年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか著書多数。

 

PROFILE

  • セコム㈱
  • 所在地 :〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-5-1
  • TEL : 03-5775-8100(代)
  • 設立 : 1962年
  • 資本金 : 663億円
  • 売上高 : 9280億9800万円(連結、2017年3月期)
  • 従業員数 : 5万8596名(連結、2017年3月末現在)
  • 事業内容 : セキュリティー、防災、メディカル、保険、地理情報サービス、情報通信、不動産事業

https://www.secom.co.jp/