はじめに
岐阜県に本社を置く1952年創業の老舗・ヤマニパッケージは、箱や手提げ袋などの包装資材を取り扱う、パッケージ業界でトップクラスの高収益を実現するリーディングカンパニーだ。ファブレスメーカーかつ1万点の既製品パッケージをラインアップしているビジネスモデルは唯一無二であり、大手が参入しづらい少量多品種の製品で付加価値を提供している。単なるパッケージメーカーではなく、顧客の会社や商品の価値を最大化するブランディング支援企業であることも、同社の差別化ポイントである。
研究会参加者は、社員や顧客をはじめ、自社と関わる全てのステークホルダーへ「未来のワクワク」を届ける同社の取り組みから、イノベーションの源泉を学んだ。
まなびのポイント 1:「ファブレス×既製品」で実現する高収益モデル
同社の強みは、業界トップクラスの既製品シェアと、ファブレスの強みを最大限に生かしたサプライチェーン上の独自ポジショニングである。現在の売上構成比は、既製品51%、別注品(オーダーメード)49%。この2種類の製品を同時に提供できるのはヤマニパッケージならではだ。
イトーヨーカドーやイオン、サミット、ヤオコーなどのGMS(総合スーパーマーケット)を中心に、全国の顧客へ、大手メーカーが参入しにくい少量多品種の製品を展開。顧客のニーズをスピーディーに形にする営業・組織体制が、この展開を支えている。
営業戦略においては、「1社依存比率の低減」を重視。現在は1万1,100社以上の顧客と取引し、1社依存比率は最高でも1.47%と、取引先を一気に失うリスクヘッジに努め、安定経営を実現している。
さまざまなものを包装する既製品パッケージ
まなびのポイント 2:顧客接点(タッチポイント)を重視したデジタル×アナログのコミュニケーション
自社の業績基盤である「1万1,100社以上の既存顧客」とのコミュニケーションも同社が重視するポイントである。粗利益率の高い既製品を、いかにリピート受注するかが、収益面でのKFS(重要成功要因)であるという。
展示会出展時には、来場できない既存客に対してオンラインで来場できる体制を整備したり、情報や案内は顧客管理アプリを活用したりと工夫を凝らす。「訪問できなくても接点多い状況づくり」が重要だと、代表取締役の吉田信宏氏は話す。
一方で、インサイドセールスのみでは勝てないのも事実である。大手百貨店から地方の繁盛店、食品、精肉、果物、酒類、菓子、コーヒーといった専門店など、全ての企業が顧客になり得る同社は、現地・現場へ行き、直接提案する訪問営業も組み合わせながら市場シェアを拡大している。
新社屋「YAMANIパーク」の外観
まなびのポイント 3:顧客にワクワクを提供するための社員エンゲージメントを高めるウェルビーイング施策
米シリコンバレーやシアトル、ポートランドでの視察を通して、働く環境の重要性を肌で感じたと言う吉田氏は、「未来の当社を支える社員のことも考えた新社屋づくり」に着手。「ヤマニの森」をキーワードに、ワンフロアで互いの顔が見通せる環境や、自社商品の展示スペース、ビリヤード台を備えたカフェ、社屋の中央に植えた樹木など、社員のコミュニケーションが活発になるように工夫している。
「岐阜に根差し、そこにまつわる人や自然を最大限に生かす」ことを大切に建設した新社屋が、今後のヤマニパッケージと社員、そして地域の成長・発展を支え続けるだろう。
コミュニケーションを活性化するゲームスペース
中央に樹木を配する新社屋