•  
人的資本研究会のメインビジュアル
研究リポート
人的資本研究会
人材を投資により生産性を高められる「資本」として捉え、人的資本と活育サイクル(採用・育成・活躍・定着)の視点で事例研究を進めます。
研究リポート 2026.07.06

AI活用を起点に、人材戦略と組織変革を加速する JAPAN AI

第3回の趣旨
タナベコンサルティングの人的資本研究会では、事業ポートフォリオの最適化に加え、人材ポートフォリオの構築、付加価値を創出する人材の確保・育成、ならびに組織デザインの高度化といった観点から、経営戦略と人材戦略の一体的な推進を重要課題として、「人的資本投資」をいかに効果的に進めていくべきかについて、先進企業の取り組み事例を通じて研究を行っている。
第3回は、AI活用による人事機能の進化と、コーポレートウェルビーイングを基盤とした組織パフォーマンス向上のあり方や取り組み事例などをご講演いただいた。

開催日時:2026年6月15-16日(東京開催)



はじめに

JAPAN AI株式会社は、上場テクノロジー企業グループの戦略的AIカンパニーとして、AI導入コンサルティング、法人向け生成AIプラットフォームの提供、AIを活用したプロダクト開発などを通じ、2,200社以上のDX・AI活用を支援している。

 

今回の講義では、生成AIが会話支援の段階から、実際の業務を遂行するAIエージェントの段階へ進化している現状を踏まえ、企業がAI活用をどのように進めるべきかが示された。

 

特に、定型業務の効率化にとどまらず、人が付加価値業務へ専念するための業務再設計や、AI戦略と人材戦略を一体で捉える視点など、人的資本経営を高度化する上での重要な示唆を共有いただいた。

 

※講義レジュメより引用

※講義レジュメより引用






AI活用による付加価値業務へのシフト

今回の講義で示された重要な視点は、AI活用の目的が単なる省力化ではなく、人が本来担うべきコア業務・付加価値業務に資源を再配分することにある点である。

 

生成AIやAIエージェントは、議事録作成、要約、情報収集、問い合わせ対応、採用の一次評価といった定型・反復業務を担うことで、社員が判断、企画、対話、育成、課題解決といった、より付加価値の高い業務に注力できる環境を実現する。

 

講義内で紹介された海外事例でも、問い合わせ対応や請求業務の高い自動化率が示されており、その結果として人材がより高付加価値な業務へ再配置されていた。これはAIが単なる業務効率化ツールではなく、人が担うべき高度な判断・対人価値業務への集中を促進していくことを意味している。

 

人的資本経営の観点からも、AIを活用して人の時間を創出し、その時間を価値創造へ振り向けることが、今後の競争力強化に直結するといえる。

 

※講義レジュメより引用

※講義レジュメより引用



成功体験を起点としたAI導入推進

AI導入を現場に定着させるためには、はじめから大規模で複雑な仕組みを構築するのではなく、身近で効果が見えやすい領域から始めることが重要である。AI活用がうまく進む企業の共通点として、汎用的な業務から導入し、成功体験を積み重ねながら専門的な活用へ広げていく進め方である。

 

具体的には、議事録作成、要約、文章レビュー、資料作成、FAQ対応などは、比較的短期間で成果を実感しやすく、利用者の心理的ハードルも下げやすい。こうした導入効果を実感しやすい業務領域において成果を積み重ねることで、現場における実感が生まれ、次の展開につながるAIへの理解と信頼が醸成され、その後の活用拡大につながる。

 

AI導入の成否は、技術の先進性そのものではなく、どの業務から着手し、成果を可視化しながら組織全体へ展開していくかという推進設計が重要となる。

 

※講義レジュメより引用

※講義レジュメより引用



AI戦略と人材戦略の一体設計

AIの進化によって、これまで人が担ってきた業務の一部は代替・補完が可能となり、企業には「人が担うべき仕事」と「AIに任せる仕事」を見直す視点が求められている。つまり、これからは既存の組織や業務の上にAIを載せるのではなく、AIを前提に組織や仕事そのものを再設計する発送が重要となる。

 

特に、人が担うべき役割は、判断、意思決定、対人関係の構築、価値創造といった、より高度で本質的な領域へとシフトしていくことが想定される。加えて、こうした変革を進める上では、データやナレッジの整備、人材要件の見直し、AIを使いこなす人材の育成も欠かせない。

 

さらに、評価制度やマネジメントのあり方についても、AI活用を前提に再構築していくことが求められる。AI戦略と人材戦略を切り離さず、一体で推進することこそが、今後の人的資本経営を高度化し、企業価値向上につなげる鍵になると言える。

 

※講義レジュメより引用

※講義レジュメより引用

PROFILE
著者画像
青木 千星 氏

JAPAN AI株式会社
Vertical事業開発部 HRチーム マネージャー代理