はじめに
同社は1928年に創業し、2023年で創業95周年を迎える北陸屈指の総合物流企業である。“できるだけモノを動かさない物流”を掲げ、主に路線事業・国際物流事業・チルド物流事業・倉庫事業を展開、全国に13拠点を構える。
2023年3月末の売上高は約69億円・従業員数525名・車輛台数365台と順調な成長を遂げている同社。しかし、藤尾社長の社長就任時は自己資本比率4%で、銀行から“倒産予備軍”のレッテルを貼られるほど危機的状況にあったという。
高校・大学時代に“規律”が重視されるラグビーに打ち込んでいた藤尾社長は、社長就任時から“人”に重点を置く理念経営を実践。稲盛和夫氏に影響を受け、徹底した理念経営で業績をV字回復してきた藤尾社長の想いや、展開されている取り組み内容を学ぶ。
まなびのポイント 1:ラニイフィロソフィの徹底した全社展開
同社では藤尾社長の“想い”をRUNIフィロソフィ(写真)に集約し全社展開している。経営理念や行動指針を策定する企業は多数あるが、真の意味で“理念が浸透している”“行動指針が機能している”と胸を張って言える企業は少ないのではないだろうか。
同社では始業時、全社員が4~5人のチームに分かれ、輪読する「RUNIフィロソフィ輪読会」を実施。全社員が会社の理念について考え、内容についてディスカッションし、現場で実践する機会を意図的に設けることで、理念浸透が促進されている。
さらに、人間学の月刊誌「致知」の内容についてディスカッションを行う“木鶏会”も理念浸透に大きく貢献しているという。
ラニイ福井貨物のバイブルとも言えるRUNIフィロソフィ。藤尾社長が大事にする計44項目の“想い”が経営の原理・原則として落とし込まれている
RUNIフィロソフィ輪読会の様子。理念経営の礎となっている(写真は講義資料より抜粋)
まなびのポイント 2:経営理念に込められた“想い”
藤尾社長は社長就任後、経営理念を刷新し、「全従業員の物心両面の幸福を追求するとともに物流事業を通じて地域社会の進歩発展に貢献する」とした。京セラの経営理念にインスパイアを受け制定したが、制定前から多くの葛藤があったという。
特に文言の順番について、従業員の幸福を一丁目一番地に持ってきていいのかどうか自信が持てなかったため、経営理念を「“物流事業を通じて地域社会の進歩発展に貢献”し“全従業員の物心両面の幸福を追求する”」の方が良いのではないかと検討したこともあったそうだ。
しかし、制定後は「物流事業以外は一切やらない(物流事業を通じて地域社会の進歩発展に貢献する)」など事業戦略への落とし込みを徹底。理念と向き合い、理念経営に本気で取り組めているという。
禅寺での1泊2日の研修合宿の様子。心を高め事故の防止に繋げている
(写真は講義資料より抜粋)
まなびのポイント 3:心を高め事故を防止する、“安全”への意識改革
物流会社にとって「安全性」は欠かすことのできないポイントである。藤尾社長が社長に就任した際は、事業所はゴミだらけで事故が起こりやすい環境であったという。
「事業所が汚い会社に良い会社はない」との考えから、掃除を社長自ら従業員と徹底。継続した5S・カイゼン活動によって心を高め、事故の数が減少した。現在では“タバコが一本でも落ちていると倒産危機だ!”と感じられるほどの徹底具合であるという。
また、心を高め事故を防止する取り組みとして、トラックの新車式・退社式、事故を起こしたドライバーを対象に禅寺で心を高める1泊2日の研修合宿、事故被害者の方の講演会、子どもミュージアムトラックの展開などを実施。さまざまな角度から心を高め事故を防止する施策を多く展開することで、“安全”への意識改革を実行している。
子どもミュージアムトラックのイラスト。子供たちの描いた絵が“安全”への意識改革を促進している