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住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会のメインビジュアル
研究リポート
住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会
人口減・高齢化・住宅への価値観の変化など「住まいと暮らし」領域を取り巻く環境は著しく変化しています。強みを明確にし勝ち続けるためのヒントを事例企業より学んで頂きます。
研究リポート 2026.06.22

風景の流通をデジタル活用で展開するランドスキップのビジネスモデル ランドスキップ

第5回の趣旨
「住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会」は、全国各地で成長・成功を続ける「住まいと暮らしドメイン」の優良企業を訪問し、ゲスト講義と現地視察を通じて、成功の条件と実装のヒントを学ぶ実践型の研究会である。
第12期は「共創」をテーマに掲げ、産学連携や異業種連携など、共創による価値創出の在り方を探究している。
第5回は、ランドスキップ、サツドラホールディングス、commos funをゲスト講師に招き、その事業戦略について研究を行った。
研究会1日目は、誰もが心癒される社会の実現を目指し、デジタルを活用した「風景の流通」に取り組むランドスキップ 代表取締役の下村一樹氏にご講演いただいた。具体的な活動事例を交えた講演を通じて、参加者は同社の価値観、事業構造、そして継続成長を支える収益モデルについて多くの示唆を得た。

開催日時:2026年5月29日(北海道開催)



はじめに

風景を連れてくる。風景をつくりだす。

ランドスキップは、「風景の流通」というミッションのもと、デジタル技術を活用して空間価値の再定義に挑む企業である。オフィスや商業施設、医療・福祉施設などに向けて、映像や音を通じた癒しの空間を創出し、人々の心地よい環境づくりを支援している。

 

自然の風景をリアルに再現することで、ストレス軽減やリラックス効果を促進し、快適なライフスタイルを提案する革新的なサービスを展開している。2015年の創業以降、住まいや暮らしの領域において「機能」だけではなく、そこにいる人の「心の状態」までも設計対象としてきた。特に医療空間では、透析室や放射線治療室などでの導入を通じ、利用者の不安や緊張を和らげる新たな環境づくりを実装している。

 

医療機関向けデジタル窓サービス「Medical Window」。MRI検査室の壁面・天井に設置されている

医療機関向けデジタル窓サービス「Medical Window」。MRI検査室の壁面・天井に設置されている






風景を届けるサブスクリプションモデル

同社の成長戦略で注目すべきは、単発売上ではなくストック収益を重視する経営設計である。中期ビジョン「Go far.」でも、継続的なLTVの最大化、追うべき数値の明確化、パートナーシップの活用が示されており、サービスを「導入して終わり」にしない思想が一貫している。

 

立ち上げ当初は、導入事例のない医療業界での展開に時間をかけて取り組んだという。しかし、風景配信は更新・運用・改善を伴うため、一度築いた顧客接点を長期で維持しやすく、結果として医療・商業・オフィス・住宅など複数領域における横展開を可能にしている。空間体験を月額・継続型で提供するこのモデルは、住まいと暮らしのドメインにおいて学ぶべき点が多い。

 

講演の様子

講演の様子



「風景の流通」を核にした独自価値の定義

ランドスキップの独自性は、単なる映像機器の提供企業ではなく、「風景の流通」を担う存在として自社を定義している点にある。デジタル窓を中心に、空間演出や情報配信を組み合わせることで、場所や時間を超えて“その人に必要な景色”を届けている。

 

例えば、思い出の風景をデジタル窓で再現するサービス「WishScape AI」では、写真1枚から思い出の風景を再構成し、揺らぎや季節感を伴う動画として再生するなど、体験価値を個別最適化している。設備導入の発想を超え、心理的価値や情緒価値を社会実装するこのアプローチは、住まいと暮らし空間における新たな競争軸になり得る。

 

思い出の風景をデジタル窓で再現する新サービス「WishScape AI」出所:ランドスキップホームページ

思い出の風景をデジタル窓で再現する新サービス「WishScape AI」
出所:ランドスキップホームページ



正しい心に従う意思と勇気を持つ

下村氏は、常に「ワクワクする楽しさ」や「正しいと感じること」を重視しており、同社の行動指針にある「Do The Right Thing(正しい心に従う意思と勇気を持つ)」は、単なる理念ではなく、事業判断の基準として機能している。

 

人の気持ちに働きかけるサービスは、短期的な効率や派手さに流されやすい。しかし同社は、“誰のための価値か”を起点に、現場での体験品質を積み上げてきた。医療分野への展開や新規事業開発においても、技術導入を目的化せず、「利用者の安心や回復に資するか」という視点を貫いている。

 

PROFILE
著者画像
下村 一樹 氏

株式会社ランドスキップ 代表取締役