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研究リポート
住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会
人口減・高齢化・住宅への価値観の変化など「住まいと暮らし」領域を取り巻く環境は著しく変化しています。強みを明確にし勝ち続けるためのヒントを事例企業より学んで頂きます。
研究リポート 2025.12.16

リフォーム・新築・不動産 ~住まいと暮らしの地域密着ワンストップモデル~ マエダハウジング

第1回の趣旨
「住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会」では、全国で成長を続ける「住まいと暮らしドメイン」の優良企業への視察を行っている。
第12期のテーマは、「共創で『暮らし』に新たな価値を提供する~地域に必要とされる住まいと暮らし企業を目指して~」である。
第2回となる今回は、マエダハウジング、叡啓大学・早田教授、大英産業をゲスト講師に迎え、その事業戦略について研究を行った。
研究会1日目、参加者はリフォーム・新築・不動産といった幅広い事業を展開する「住まいと暮らしの地域密着ワンストップモデル」について学びを深めた。
開催日時:2025年11月11日(広島・九州開催)


はじめに

日本の住宅市場は、少子高齢化や人口減少に伴い新築着工数の減少が避けられない状況にある。さらに、インフレ経済への転換により、建築資材や人件費の高騰が企業の収益を圧迫している。

 

このような厳しい環境において、住宅業界は「所有から賃貸へ」「新築から中古へ」といった消費者ニーズの変化に対応し、従来の「モノ」提供型から「コト」提供型へのビジネスモデル転換を迫られている。

 

地域密着型のワンストップサービスは、こうした市場変化に対応するための有効な戦略である。顧客が求める多様なサービスを一括して提供することで、利便性と顧客満足度を向上させるとともに、地域社会との信頼関係を構築することが可能となる。

 

マエダハウジングの事例は、地域特性を生かした事業展開の具体的手法とその意義を示しており、企業が持続的な成長を遂げるためのヒントとなる好例である。

  マエダハウジングの事業の1つである古民家改装事業 マエダハウジングの事業の1つである古民家改装事業
出所:マエダハウジング講演資料



地域密着型のワンストップサービス構築

地域密着型のワンストップサービスとは、住まいと暮らしに関する多様なニーズに対し、一括して対応するビジネスモデルである。

 

その背景には、複数のサービスを個別に利用する煩雑(はんざつ)さを解消し、利便性を求める顧客ニーズがある。

 

このモデルを構築するためには、地域特性を深く理解し、顧客の生活に密着したサービスを提供することが不可欠である。

 

同社は、地域の住宅事情や生活習慣を踏まえたデザインリフォームまでをサービスとして一体化させることで、「モノ売り」から「コト売り」への転換を実現し、顧客満足度を向上させている。

 

この取り組みは、単なるサービス提供にとどまらず、地域社会との信頼関係を構築し、企業の競争優位性を確立する上で大きな意義を持っている。

 

地域密着型サービスの提供に向けたポジショニングの変化 地域密着型サービスの提供に向けたポジショニングの変化
出所:マエダハウジング講演資料

LTVの最大化を実現するための戦略

同社は、「住まいと暮らしのワンストップサービスを実現するためには、LTV(顧客生涯価値)の最大化が不可欠である」としている。また、次の3つの戦略を重点的に実践することで、その最大化を図っている。

 

1つ目は、リピートスパンを短縮すること。2つ目は、顧客との接点(入り口)を増やすこと。3つ目は、リピートや紹介へと確実につなげることである。

 

これらの戦略により、単発で終わらない継続的な取引が可能となり、各世代の住生活課題に対し、ライフステージ全体をカバーするサービスの提供が実現する。

 

こうした取り組みは、顧客との信頼関係を構築するだけでなく、「連続性・統合・共創」の設計に基づく持続可能な経営を実現する上で極めて重要な戦略である。


LTVの最大化を実現するための顧客サークルマップ LTVの最大化を実現するための顧客サークルマップ
出所:マエダハウジング講演資料

地域を起点とした経営モデルの実現

地域社会が抱えている課題に対し、自社単独で解決できる範囲は限られる。この課題に対し、マエダハウジングは、複数企業・事業体をグループ化し、幅広い地域課題へ多面的にアプローチする経営モデルを確立。地域一体となって課題を解決する仕組みを構築した。

 

これにより、経営人材の輩出・登用を通じて、次世代の事業経営者をグループ内で循環させる仕組みづくりが可能となった。


こうした取り組みは、人と事業を束ねることで地域課題解決の基盤を築くだけでなく、「弱みを補い、強みを生かす」経営モデルの確立により、売上高100億円企業の実現に向けた重要な施策となっている。


多面的に地域課題にアプローチするための経営モデル 多面的に地域課題にアプローチするための経営モデル
出所:マエダハウジング講演資料

PROFILE
著者画像
前田 政登己 氏

マエダハウジングホールディングス マエダハウジング 代表取締役