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研究リポート
設備工事研究会
設備工事業界の経営課題を乗り越え、生産性の向上策と付加価値の確保に
成功している企業を研究し、社内改革に挑みます。
研究リポート 2026.08.26

早期育成による生産性向上
〜ポテンシャル人材の戦力化と教育DXが開く建設業界の未来〜
ワット・コンサルティング

第6回の趣旨
タナベコンサルティングの設備工事研究会は、「生産性と企業価値の向上に向けた社内改革に挑む」をテーマに掲げる業界研究のプラットフォームである。
価格競争の激化や後継者不足、働き方改革など、設備工事業界が直面するさまざまな課題に対し、先進事例を学ぶことにより知見を深めつつ、会員同士の議論も生かし、改善に向けた方向性と自社が打つべき施策について検討を行う。
第6回は、建設業界、特に設備業界が抱える高齢化・人材不足という構造課題に対し、未経験者・女性・シニア・海外人材といった「ポテンシャル人材」の発掘と早期育成を通じて生産性向上を実現する企業を紹介。人材育成企業として教育機能を核に事業を展開するワット・コンサルティングの取り組みと、早期育成による生産性向上を実現するための具体的な教育ソリューションについて、取締役の水谷辰雄氏にご講演いただいた。

開催日時:2026年7月15日(福岡開催)


株式会社ワット・コンサルティング 取締役 水谷 辰雄氏 ご講演の様子

株式会社ワット・コンサルティング 取締役 水谷 辰雄氏 ご講演の様子



はじめに

ワット・コンサルティングは、2003年の設立以来、建設業界向け人材サービスを主力事業とする企業である。本社を東京に置き、札幌から福岡まで全国7営業拠点、4研修センター、外国人材向け日本語教育センター、教育コンテンツ制作を担うワットスタジオを展開する。従業員数1134名のうち、約8割は未経験から育成してきた技術者であり、中でも設備技術者は全体の6割以上を占める。同社は、スタンダード市場上場のウィルテックを親会社とする連結グループ企業である。

 

事業は、「人材サービス事業」「教育研修事業」「海外人材サービス」「BIMモデリングサービス」「建設DX点検サービス」の5領域からなるが、いずれの根底にも「ポテンシャル人材を育て、建設業界で活躍してもらう」という一貫した考えがある。創業以来、建設業界に縁のなかった人材の啓発・育成に取り組み、人手不足解消の即効薬ではなく業界の裾野を広げる構造的な解決策として、教育を核とした事業モデルを構築してきた。

 

出所:ワット・コンサルティング講演資料

出所:ワット・コンサルティング講演資料






ポテンシャル人材の発掘と体系化された早期育成の仕組み

同社は2011年より、新卒・第二新卒に偏らず、未経験者・女性・シニア・海外人材といった「ポテンシャル人材」の発掘に注力してきた。特に施工管理業務については、「全体の約3割に女性が力を発揮しやすい業務が存在する」という仮説のもと、2014年から業務を切り出し女性の活躍の場を広げている。

 

その育成を支えるのが、独自の研修制度「ワットスクール・オブ・エンジニアリング」である。入社後約2カ月・合計326時間にわたり、専門研修、CADソフトなどのソフト研修、ビジネスマナーやキャリアデザインを含む共通研修の3本柱で教育を実施。実務経験豊富な専任講師15名が東京・大阪・福岡の3拠点で指導し、外部調査機関の調査では未経験者向け研修満足度No.1を獲得するなど、体系的な教育プログラムがポテンシャル人材の戦力化を可能にしている。

 

出所:ワット・コンサルティング講演資料

出所:ワット・コンサルティング講演資料



現地法人によるワンストップ体制で実現する海外人材の活用

2017年以降、ベトナム・ミャンマー・インドネシア・ウズベキスタン・韓国から優秀な人材を確保し、現在は海外人材比率が全社員の約1割に達している。同社の強みは、採用から入国、就業まで一貫して支援するグループ内ワンストップ体制にある。現地法人(ウィルテックベトナム、ウィルテックミャンマー)が募集・選考・日本語教育(日本語能力試験N2水準)を担い、来日後も埼玉の日本語教育センターで生活習慣や建設専門用語を含む橋渡し教育を実施した上で、東京の研修センターで日本人未経験者と共に技術研修を受講させている。

 

現地大学との人材育成協定を通じて在学中から計画的に育成を進める仕組みも構築しており、募集から教育まで自社グループで完結できることが、質の高い人材確保と定着につながっている。

 

出所:ワット・コンサルティング講演資料

出所:ワット・コンサルティング講演資料



教育のDXによる若手早期戦力化と現場生産性の両立

人手不足や時間外労働の上限規制により、現場でのOJTや人材育成の時間確保が難しくなる中、同社はデジタルネイティブなZ世代の学び方に合わせた教育学習プラットフォーム「コンストラクションボーディング」を3年かけて開発した。1本平均3分30秒の現場映像とイラストによるマイクロラーニング、理解度テスト機能、CADトレーニング動画、専門用語学習アプリ、スライド講義など4種のコンテンツを組み合わせ、スマホなどで隙間時間に学習できる点が特長である。

 

建築設備分野は2026年4月の給排水衛生設備工事編を皮切りに7月に空調設備工事編、10月には電気設備工事編を含む315本体制となる予定だ。導入企業は約120社・2600アカウントを超え、指導者の高齢化やOJTの限界を補う手段として、業界内で着実に浸透している。教育を「コストではなく投資」と位置付ける同社の姿勢は、若手社員の早期戦力化と現場全体の生産性向上を両立させる好例と言える。

 

出所:ワット・コンサルティング講演資料

出所:ワット・コンサルティング講演資料

PROFILE
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水谷 辰雄 氏

株式会社ワット・コンサルティング 取締役