建設ソリューション成長戦略研究会では、秀逸なビジネスモデル・経営ノウハウを持つさまざまな企業の現場を「体感」する機会と、経営改革・業務革新のヒントを提供する。また昨今、建設業界では高収益ビジネス構造、働き方改革の実現による生産性向上など、さまざまな課題に対して、問題の本質理解と課題へのアプローチ方法について学ぶ。
第6回の1日目はEARTHBRAIN株式会社より、建設現場の生産性向上や施工管理高度化に向けたDX・AIの活用や技術についての考え方をご講演いただいた。
2日目は白岩工業株式会社より、「採用と教育で日本一のサブコン」を掲げた採用・人財戦略についてご講演いただいた。
先進企業2社の事例を通じて、建設業の持続的成長に向けたDX推進と人財戦略のあり方を考える機会とした。
開催日時:2026年7月29日(東京開催)
はじめに
1953年創業の白岩工業は、東京都中央区に本社を置き、鉄道・道路・トンネル・シールド・空港・ダムなどの土木工事に加え、公共施設やエネルギー関連施設等の建築工事、空港設備の維持管理事業まで幅広く手掛ける建設会社である。
人々の暮らしを支えるライフラインを守り、社会と未来に貢献することを使命に掲げ、確かな技術と組織力を強みに事業を展開してきた。
近年は「採用と教育で日本一のサブコンを目指す」という明確な方針のもと、人財戦略を経営の重要テーマに位置付け、自社の魅力の言語化や情報発信、内定者フォロー、社員寮整備、人間性教育までを一貫して推進している。
採用と教育で日本一のサブコンへ
出所:白岩工業HPより引用
採用成果を生む地道な実行力
採用には近道や特効薬があるわけではなく、「100個やることあるなら100個すべてやり切る」という経営姿勢こそが、成果を左右するという点である。白岩工業では、ホームページの定期更新、採用ブログの発信、学校訪問、紹介会社との連携など、一つひとつは特別ではない施策を徹底的に積み重ねている。
人財不足が深刻化する中で、環境要因を嘆くのではなく、まず自社がどれだけ行動できているかを問い直す姿勢は非常に示唆に富んでいる。採用難の時代だからこそ、経営層や人事部門が危機感を持って圧倒的な行動量を確保することが出発点であり、その積み重ねが結果として応募者との接点を増やし、自社に合う人財と出会う確率を高める。魔法の施策ではなく、基本動作の徹底が競争優位につながる。
同社の事例が示すのは、採用の成果は派手な施策ではなく、地道な実行力の差によって生まれるという点であり、その地道さこそが再現性の源泉である。
他産業に負けない建設業界のブランディング「コンテンツマーケティング」
自社らしさの言語化が共感を生む
白岩工業の取り組みで印象的だったのは、自社らしさを明確に言語化し、一貫したメッセージとして発信している点である。学生や求職者は、単に建設業という業種で就職先を選ぶのではなく、「どの会社で働くか」という観点で比較している。
そのため、給与や福利厚生といった条件面だけでなく、創業の思い、会社の価値観、成長できる環境、人を大切にする姿勢といった定性的な魅力をどう伝えるかが重要になる。
同社では、採用サイトやブログ、説明会を通じて、制度や取り組みの背景にある考え方まで丁寧に発信しており、単なる企業紹介にとどまらず共感形成につなげている。
採用活動は人集めではなく、自社文化を伝えるブランディング活動と捉えている。
採用から定着・成長までを一貫させる人財戦略
白岩工業の人財戦略の本質は、採用・教育・定着を個別施策として切り分けるのではなく、入社前から配属後までを一貫した流れとして捉え、全社一体で若手に向き合う文化を構築している点にある。
同社では、内定者一人ひとりに合わせたオーダーメイド型のフォローや、LINE等を活用した継続的なコミュニケーション、社員寮整備による生活基盤の支援などを通じて、入社前後の不安を軽減している。
さらに教育面では、スキル習得に加え、挨拶や礼儀、清掃といった基本行動を繰り返し徹底し、人間性の育成も重視している。
こうした育成は人事部門だけで完結するものではなく、本社・営業所・現場の上司が連動し、求める人物像を一貫して伝えながら支援している点が特徴的である。
若手が「会社が自分に向き合ってくれている」と実感できる環境を整えることで、離職防止と早期戦力化、ひいては将来の成長基盤づくりにつなげている。
全社一体となり、採用と教育それぞれのワーキングチームを発足
(教育&フォローチーム、採用&ブランディングチーム)
白岩工業株式会社
代表取締役社長