タナベコンサルティングの建設ソリューション成長戦略研究会では、人手不足の深刻化、高齢技術者の増加、長時間労働等の従来の課題から建築の低収益化といった新たな課題にも着目し、建設業の高収益ビジネスモデルの作り方を先進事例から学ぶ。
第4回は、共創による成長をテーマとし、自社だけでなく共創することで、建設業界の未来を創るために具体的な取り組みを実施している2社にご講演いただいた。
東陽電気工事株式会社様から失敗を体験できる育成環境・指導法により心理的安全性の高い環境をつくり、さらに育成ノウハウを同業者に外販・提供している事例を学ぶ。
また東北アライアンス建設株式会社様からは競争から共創する企業を設立し、単独では成し得ない成長を実現する新たな建設業経営モデルを学ぶ。
開催日時:2026年3月25日(東北開催)
はじめに
東北アライアンス建設は、東北6県の主要建設会社6社とみずほ銀行による連携を土台に、さらに異業種6社との戦略的パートナーシップ協定を締結した。会社設立の一番の理由は、様々な方からの支援を受け東日本大震災からの復興を経験し、有事の際に東北の中で建設業の存在を高め、頼られる業界にしていきたいという想いがあった。
そのためには民民の災害協定を結ぶだけでなく平常時から共にビジネスをし、単独ではなしえない共同での成長を目指したいという想いで設立した。
また、人口減少、担い手不足、自然災害の多発、インフラ老朽化といった東北特有の構造課題に対し、建設業の枠内だけでなく、IT・金融・人材・製造など外部の技術や機能を取り込みながら解決力を高める。単なる協力関係ではなく、広域案件対応、新規事業創出、DX推進、地域インフラ維持を見据えた戦略的な連携基盤を目指している。
東北アライアンス建設株式会社の事業体制
戦略パートナーシップ協定①自前主義からの脱却
戦略パートナーシップ協定を実現する上で、2つのキーワードがある。1つ目のキーワードは“自前主義からの脱却”。建設会社が自社単独の経営資源だけで課題解決を図る従来型建設業モデルを見直し、外部との連携を前提とした経営へ転換する考え方である。DX、脱炭素、資材高騰、金融対応、人材確保といった課題は、もはや一社完結では対応しきれない。
東北アライアンス建設では、さらに企業間連携を発展させる、異業種横断型の共創へ舵を切っている。これは不足機能の補完にとどまらず、異業種の知見やネットワーク、経営ノウハウを組み合わせて、新たなサービスや事業機会を生み出す発想だ。自前で抱え込むのではなく、地域全体で最適解をつくる“全体最適”を重視している。

自前主義からの脱却
戦略パートナーシップ協定②統合しない統合
2つ目のキーワードは「統合しない統合」。現時点で東北アライアンス建設、戦略的パートナー企業、事業協同組合といった3つの枠組みを構築してきた。事業協同組合では671社の建設業サブコンが加盟する「東北トラスティア構想」を掲げ、共同購買、人材育成、資金調達、リスク共有、DX共通化など、分散していた経営資源を束ねる仕組みを整えようといった、経営統合しないまま統合したような連携を実現しようと考えている。
協同組合とした理由は、東北アライアンス建設からの受注だけを目的にせず、協奏の土台としたいという考えからだ。東北アライアンス建設と災害協定を結ぶことで「人、モノ、金」面だけでなく、他県で発生した災害の支援してみようといったパーパスの共有も含め、より大きな災害協定を結ぶことができる。

東北トラスティア構想における「統合しない統合」
「競争」から「共創」へ、そして「協奏」を
東北アライアンス建設が示す将来像は、「競争」から「共創」、さらに「協奏」へと進化する3段階モデルを目指す。従来の競争は各社が単独利益の最大化を目指す個社最適だったたが、人口減少や需要縮小の時代には限界がある。そこで現在は、複数社が機能を持ち寄り相互補完する「共創」へと転換している。
そして次の段階として構想されているのが「協奏」であり、これは単に協力するだけでなく、全体を意図的に設計し、価値を最大化する“オーケストラ型”の連携となる。目指すのは一社の勝利ではなく、地域全体の持続性の確保であり、建設業の新しい経営モデルを東北から提示していく。

「競争」から「共創」、「協奏」への進化
東北アライアンス建設株式会社 代表取締役社長