インフロニア・ホールディングスは、前田建設工業(株)、前田道路(株)などを傘下におさめる総合インフラサービス企業。同社グループの連結決算は、売上高8,475億円、当期利益324億円(2025年3月期、連結)。従業員数は8,000名を超える、日本屈指の建設グループ企業に成長されている。
同社は、インフラの可能性を広げ、街の新しい価値創造の原動力を創り出すことを目指している。「インフロニア」という社名は、「インフラの革新者・先駆者・エンジニア・フロンティアになる」という思いを込めた造語に由来している。
本研究会では、前田建設工業(株) 専務執行役員 東山 基 氏に、インフロニア・グループが展開する幅広い事業領域、PFI事業やコンセッション事業について、お話を頂いた。
開催日時:2025年11月10日(東京開催)
PPP/PFIの黎明期より官民連携分野に参入し、「国内初」に多数取り組む
インフロニア・ホールディングスが目指す姿は「総合インフラサービス企業」。建設請負事業で培ってきたグループ各社のエンジニアリング力と、建設請負以外の事業(建設サービス事業)を融合して、様々なインフラの企画提案から運営・維持管理に至るまで、ワンストップで提供する企業を目指している。
建設サービス事業の柱となっているのが、PPP/PFI事業である。同社はPPP/PFIの黎明期である1990年代より官民連携分野へ参入し、「国内初」となるPPP事業を数多く手掛けてきた。PFI法施行(1999年)の翌2000年には、国内初のPFI事業として千葉県消費生活センターの事業を手掛けている。
また、仙台空港の運営や愛知県の有料道路運営など、同社が国内初となるコンセッション事業(公共施設の運営権を民間事業者に設定する官民連携事業)も数多い。
講義聴講の様子
建設業にも必要な「サービス事業」という発想
そもそも同社が建設サービス事業(インフラ運営事業)に注力した背景には、2000年初頭の段階ですでに、「将来的に、国・地方自治体で公共インフラの維持管理予算の確保が難しくなる」という見通しがあった。
加えて建設業として、請負事業だけで業績を維持できるのか、という危機感もあった。
広く世界を見渡せば、フランス、米国、ドイツの大手建設会社は、建設請負事業だけで収益を確保しているわけではなく、コンセッション事業の収益が会社の業績を支えている。
例えばフランスのVINCI社の2024年の決算を見ると、コンセッション事業部門の売上高が全体の16%程度だが、EBIT(利払い前・税引前利益)は全体の60%程度にも及ぶ。
請負事業のように受注単価は稼げないものの、利益率が高く、何よりスポットではなくストックのしての性質が高く、収益が積み上がっていくため、収益力が安定することが最大の利点と言える。
情報交流会
総合インフラサービスの目指す姿
国内屈指のPFI事業・コンセッション事業の運営実績を誇る同社は、官に代わり公共インフラ施設を運営しつつ、「インフラサービスの統合プラットフォーム構築」を目指している。
道路、上下水道、公共施設の管理・運営データを蓄積・運用・分析することで、一部の職員の勘と経験に頼る業務のやり方を改善しようとしている。将来の人手不足を見越して、現場に人が常駐せずとも施設運営ができる、遠隔監視・管理ができる状態も志向している。
大手企業による地方の公共施設への事業参入は、地場企業にとっては脅威に感じる側面もあると思われるが、同社は、地場企業との協業を求めている。同社は官に代わって事業を受託者する立場であっても、インフラ施設運営の全てから地場企業を排除するのではなく、むしろ、施設運営を地場企業と共に行うので、運営の改善提案をどんどん挙げてほしい、というスタンスだ。
例えば災害発生時の復旧作業などは、結局のところ地場企業の力によるところが大きくなる。地方の公共インフラの維持管理は、大手企業と言えども1社で賄い切れるものではない。
視察先となった三浦市東部浄化センター(三浦市公共下水道 東部処理区 運営事業)でも、土木・管路工事や維持管理業務は、地元企業への発注を優先している。また、ヒートポンプを導入し下水熱を資源とした農業の展開は、地元農家との協働で行われている。
三浦市東部浄化センター 視察風景
前田建設工業株式会社 専務執行役員