はじめに
本研究会のテーマである「地域創生×産学官民アライアンス」によるビジネスモデルを検討するにあたり、第2回においては行政視点での「協業」について理解を深める回となった。
講演のポイントは大きく3点であった。
❶ 女性の「真の働きやすさ」とは何か
❷ IT人材不足×エンジニアのジェンダーギャップの視点から見た女性エンジニアの可能性
❸ 地方女性のデジタルリスキリングがもたらす、地域からの人材流出対策
同社は社会課題である女性雇用環境の悪化とIT人材不足に着目し、日本で唯一の女性に特化したITエンジニアを育成するコーディングブートキャンプを展開。やまざき氏には、スタートアップの視点で見る社会課題の捉え方、ビジネスを通じた地方女性の雇用創出・人材流出対策等の行政課題へのアプローチがもたらす協業・共創の可能性を発信いただいた。
女性雇用環境の問題提起から、地域・企業・雇用者それぞれの立場にとって女性ITエンジニアの創出による課題解決の可能性を解説いただいた
まなびのポイント 1:女性活躍の機会を役職だけではなく、職種で可能性を拡大させる
各企業において女性活躍の視点から、管理職比率を高める動きなどが顕著になりつつある。一方で働き方が多様化する現在において、必ずしも上記の取り組みが女性従業員のエンゲージメント向上に繋がらない。自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択したい、結婚・出産・育児などのライフイベントを超えて働き続けることが可能な仕事をしたい。
このようなニーズは拡大傾向にある。更に給与水準は上げたいが、管理職には就くことで、上記の働き方が実現できない可能性があるなど、GAPに悩む女性も多いのが事実である。
女性管理職者を増やすという視点だけではなく、社内での女性活躍の視点において、デジタルリスキリングによる可能性は大きい。社内のIT人材の不足に対し、「女性のエンジニア」の登用等、役職ではなく、職種で女性の活躍の場を創出する視点が重要となる。
まなびのポイント 2:女性エンジニア創出による新たな地域雇用の選択肢を生み出す
“日本型雇用”の強い地域においてはジェンダーギャップが生まれやすく、地域から都市部への人材流出を招きやすい傾向がある。都市部に労働人口が流出することは地域にとって痛手となる。
地域雇用の創出こそが“地方創生”の重要な取り組みであり、その点において同社の女性エンジニア育成のスキームには独自性がある。地域雇用の創出・IT人材の不足の解消・女性活躍機会の創造・賃金格差の解消など、地域・企業・雇用者それぞれの立場でメリットを生むビジネスモデルにより、事業を通じた社会貢献度は高い。
現に受講者の構成比は東京27.4%、地方都市29.8%、その他エリア42.8%となっており、東京以外が7割を占めるなど、地方の女性からの支持は特に厚い。地域格差の是正を女性の働き方という視点で解決する取り組みから自治体の課題解決パートナーの役割を担っている。
まなびのポイント 3:行政と連携したデジタルリスキリングの推進
IT人材の採用に悩む企業は多く、自社の社員へのデジタルリスキリングへの投資は課題解決に繋がる一手となり得る。デジタルリスキリングの強みはスキルの「掛け算」であり、様々な分野ですでに活躍した経験やスキルにデジタルスキルを掛け合わせることにより、既存分野でのDX化を推進する活躍人材へと成長する可能性を秘めている。
今後はAIの普及により一般的な事務作業等の雇用の需要が縮小するリスクも想定されることから、企業において高生産性人材へと転換する取り組みは重要な人材戦略であるといえる。
同社は厚生労働省の専門実践教育訓練講座、経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業に採択されており、省庁との連携によるブランディングにより競争力を獲得することができており、行政との連携をスムーズに行える基盤を構築することができている。