タナベコンサルティングの「企業価値を高める戦略CFO研究会」第8期第1回のテーマは、「経営改革とCFOの役割」と「データを活用したFP&A志向によるパフォーマンス・マネジメントの実施」である。
CFOの役割は、経営改革を支援する「ビジネスパートナー」だ。そのために、CFOリーダシップ(CFO魂)と本質的・中長期的・多面的に物事を捉え、難しいことを易しく説明するコミュニケーション力が必要である。
FP&A組織というチーム組成により、全社視点の意思決定を支援する事例から、投資家の求める全社および事業別のファイナンス指標を現場とともにマネジメントすること、また、ファイナンス人財育成およびDX活用が重要であることを学んだ。
開催日時:2026年2月6日(東京開催)
約135カ国に製品展開するグローバル企業・味の素
味の素はアミノ酸を軸に事業を展開する、創業の精神を受け継ぎチャレンジ精神あふれる社員が多く働くプライム上場企業である。技術資産の掛け合わせによって、電子材料など新たな価値創造・イノベーションを実現しており、主要の食品系事業ではないバイオ&ファインケミカル系事業も同社の事業利益の一部を構成している。
また、世界約135カ国に製品を展開しており、117の生産工場を保有しているグローバル企業でもある。そんな同社に、経営管理について講義いただいた。
出所:味の素講演資料
既存の枠にとらわれない転換
同社は中期経営計画を含めた中長期の計画については、精緻な数値の作り込みをやめ、売上高・利益などを、額ではなくパーセンテージのみで表すように転換した。当初、株主への説明など対外向けの説明に懸念の声があったが、それと同時に、同社独自の指標「ASV指標(味の素グループシェアードバリュー)」を掲げ、追求し、実行力を上げる「中期ASV経営」へと進化させることできた。
また、各事業部のメンバーを基にFP&Aチームを発足させ、事業部間の情報交換を活発化させ、好事例の水平展開を積極的に行った。これがチームメンバーの人材育成(FP&Aスキル)にもつながっている。
出所:味の素講演資料
セグメント別ROIC&WACC・キャッシュアロケーションの導入
これまで開示していなかったセグメント別のROICとWACCを算出し、開示したことによって、厳しい判断ができなかった収益性の低いセグメントにメスを入れることができた。
また、将来の成長のためにファイナンス部門によってキャッシュアローケーションを導入した。将来へ必要な投資(オーガニック成長投資・M&A投資)を行いながら、WACCを上回る投資として、積極的に自己株式の取得を実行していくと明示することによって、対外的な信用を得ることができている。
出所:味の素講演資料
DXおよびAIの活用
日本は海外に比べてデータの活用が遅れている。情報を取得することは非常に重要で、かつそのスピードも重要である。同社では全従業員がDXに参画し、AI導入も含めてあらゆる分野で進化している。
今回の講義の資料もAIエージェントを活用して作成した。今後の企業経営においては、DXおよびAI活用で、スピード感をもって経営していくことが必要不可欠になっている。
出所:味の素講演資料
味の素株式会社 執行役常務