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研究リポート
企業価値を高める戦略CFO研究会
経営者・経営幹部は、事業価値・企業価値を見極め、事業ポートフォリオを最適化する必要があります。会計ファイナンス思考による戦略的意思決定を学びます。
研究リポート 2026.01.06

ガバナンス改革のこれまでとこれから 大和総研

第6回の趣旨
タナベコンサルティングの「企業価値を高める戦略CFO研究会」第6回のテーマは「企業価値向上とコーポレートガバナンス改革」である。FP&A(Financial Planning & Analysis:財務計画・分析)の変革を通じた価値創造と、日本のガバナンス改革の要点(目的・成果、株主提案権、議決権行使助言、コードの改定、協働エンゲージメント、サステナビリティ情報の開示、投資家との対話)について学んだ。
開催日時:2025年12月17日


アクティビストへの対応とサステナビリティ開示の考え方

本研究会では、大和総研の政策調査部主席研究員である鈴木裕氏を招き、ガバナンス改革の効果やアクティビストへの対応の重要性について、講義をいただいた。

 

日本では、スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードの制定以降、企業のガバナンス改革が進展。併せて、アクティビスト・ファンド(上場企業の株式を一定数取得し、株主権を行使して経営に積極的に関与し、企業価値向上を目指す投資ファンド)の活動が活発化している。

 

研究会参加者は、異なる3類型のアクティビストへの対応とサステナビリティ開示の考え方を中心に学んだ。

 

株主アクティビズム 3種類のアクティビスト 本リポートの資料出所:大和総研講演資料 出所:大和総研講演資料




資本コスト起点の資本政策設計

PBR(株価純資産倍率)の引き上げを目的化せず、WACC(加重平均資本コスト)を算定し、「ROIC(投下資本利益率)>WACC」を資本配分の第一原則にする。

 

キャッシュの使途を、「成長投資→人的資本・知的財産→選択的M&A→配当→自社株買い」の優先順位とトリガー(株価乖離・余剰資金閾値)でルール化することを投資家へ説明し、成長への期待を感じてもらう。

 

経営戦略や経営計画、決算説明資料、自社ウェブサイトなどに資本政策を開示し、情報公開を行うことで投資家の理解を得ることが重要である。

 

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応 本リポートの資料出所:大和総研講演資料 出所:大和総研講演資料

投資家の類型別対話と共同対応

投資家を「アクティビスト/ソーシャル/メインストリーム」にマップし、論点別の対話台本と開示の準備を行う。メインストリーム向けには議決権方針・エンゲージ事例の提供で支持基盤を形成する。

 

日本で容認される協働エンゲージメントは、“重要提案を目的としない協働”の範囲で活用し、長期志向の投資家と事前に論点整理・賛同の輪をつくることで、投資家との関係構築が可能となる。

 

協働エンゲージメント 本リポートの資料出所:大和総研講演資料 出所:大和総研講演資料

経営に結ぶサステナビリティ開示再設計

国際ルールの動向(米国における見直し、欧州での適用条件の再検討)を踏まえ、サステナビリティ情報の過剰な開示を避け、“投資判断に資する”最小限かつ十分な素材の開示を行う。

 

財務と連動したマテリアリティ(重要課題)を設定し、排出量・人材・サプライチェーンの指標をROICや成長投資計画とひも付けて説明することで、方針・KPI(重要業績評価指標)・進捗の一貫性を確立し、企業価値への寄与を示す必要がある。

 

これにより、投資家が中長期的な企業価値を評価し、企業と建設的に対話することが可能となる。

 

サステナビリティ開示を投資家が必要としている? 本リポートの資料出所:大和総研講演資料 出所:大和総研講演資料

PROFILE
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鈴木 裕氏

株式会社大和総研 政策調査部 主席研究員