タナベコンサルティングの「企業価値を高める戦略CFO研究会」第5回のテーマは「企業価値を高める上場という選択肢とPBR改革」である。
上場は単なる知名度・信用力の向上ではなく、広く一般の投資家から資金を調達し、株主の期待に応えながら企業価値を高める重要なステップであり、企業の成長を加速させる選択肢になり得る。研究会参加者は、企業価値を高めるための上場という選択肢が持つ戦略的意義について学んだ。
開催日時:2025年10月22日
上場企業に必要な経営の方向性
東京証券取引所上場部企画グループ統括課長の池田直隆氏をゲスト講師に招き、東京証券取引所の市場区分改革と、資本コストや株価を意識した経営の重要性について講義いただいた。
投資家との対話を通じた信頼構築や資本政策の透明性を高める取り組みが、企業価値向上にどのように寄与するかを、先進企業の事例を交えながら説明いただき、東京証券取引所の取り組みと上場企業として必要な経営の方向性、IR活動について学びを深めることができた。
出所:東京証券取引所講演資料
投資者の目線とギャップある事例
上場企業である以上、株主の期待リターンである資本コストを意識し、それを上回るリターンを生む事業や投資に注力することが重要である。また、株式市場における自社の評価、すなわち株価を意識することも重要だ。こうした現状分析・評価を進めることが求められる。
東京証券取引所は、企業が資本コストや株価を認識し、株主・投資者と共通の言語で対話できるよう、経営戦略に反映させることを推奨している。資本コストに関しては正解があるものではないため、自社の考えを投資者に示し対話していくことが重要だ。上場企業には、積極的な情報開示やIR活動により、投資家との信頼関係を構築し、資本市場での評価を高めることが求められている。
出所:東京証券取引所講演資料
IR活動に関する投資者からの声
投資家は、上場企業の成長戦略や資本政策に関する具体的な情報を求めており、それに応える形で企業が情報開示や対話など、投資家とのコミュニケーションに注力する姿勢が、企業価値向上にも寄与する。
東京証券取引所は、上場企業が投資家との対話を活性化させるための取り組みを推進している。そして、そのような機会を、IR活動としての単なる情報提供の場とするのではなく、投資家の声を投資家視点で理解し、経営戦略に反映させることを求めている。
IR活動を投資家から正確な評価・信頼を獲得するための鍵と認識し、活動内容の検討と取り組みを進めていくことが重要である。
出所:東京証券取引所講演資料
グロース市場改革について
グロース市場の上場維持基準は「5年で時価総額100億円以上」と見直され、2030年に適用される。グロース市場はリスクマネーを調達するためのマーケットであり、東京証券取引所はグロース上場企業に対し、市場を活用して積極的に成⾧資金を調達し、成⾧を加速していくことを求めている。
その実現に向け、東京証券取引所は環境整備に務め、グロース市場が真に「高い成⾧を目指す企業」が集う市場となるよう、「グロース」というキャラクターを追求した施策の推進とともに、そうした企業へのサポートやグロース市場に上場するメリットの提供を進めていく。
出所:東京証券取引所講演資料
株式会社東京証券取引所 上場部 企画グループ統括課長