•  
ナンバーワンブランド研究会のメインビジュアル
研究リポート
ナンバーワンブランド研究会
コロナ後の新しい時代に合わせた最新のブランディングを研究し、参加者の皆様が自社で実装するために、コンサルタントがアドバイス・サポートいたします。
研究リポート 2026.09.30

社員のウェルビーイングを起点とした組織・事業変革 ECOTONE

第1回の趣旨
第13期ナンバーワンブランド研究会では、「良いモノ」から「選ばれる価値」へ、インフレ経済で勝ち残る、利益を生むブランド戦略をテーマに、先進企業の事例から企業の持続的成長を目指す。
第1回は、ECOTONEの堂上社長より、社員のウェルビーイングを起点とした組織づくりや、異業種・地域・コミュニティーとの共創による新規事業開発について講演いただいた。

開催日時:2026年9月9日(東京開催)



はじめに

今回は、ECOTONE社長の堂上氏より、広告業界の変化と新規事業開発の経験を踏まえ、企業経営におけるウェルビーイングと組織づくりについて講演いただいた。従来の広告業界では、テレビや新聞などを通じて企業から生活者へ一方向に情報を届けることが中心であったが、デジタル広告やD2C、コミュニティーの広がりにより、企業と生活者の関係は変化している。講演では、一方的に情報を発信する「滝型モデル」から、生活者や地域、異業種とともに価値を生み出す「渦型モデル」への転換が示された。また、社員のウェルビーイングが挑戦や創造性、顧客満足、企業成長につながる循環も紹介された。社員の内的動機を生かし、自分らしく挑戦できる組織づくりは、今後の企業経営や社内変革を考える上で示唆に富む内容であった。

  ECOTONEのロゴ

ECOTONEのロゴ
出所:ECOTONE企業サイト






未来の事業を生み出すために、既存の枠組みを問い直す

堂上氏は、博報堂時代に新規事業開発組織「ミライの事業室」で新しい事業の創出に取り組んだ経験を紹介し、既存事業の延長線上で考えるだけでは、社会や生活者の変化に対応した事業を生み出すことは難しいと語った。新規事業を考える際には、まず自社が何のために存在しているのか、どのような価値を社会に提供したいのかを見つめ直し、目先の売り上げや効率だけではなく、将来の社会、テクノロジーの進化や生活者の在り方から逆算して考えることが重要である。

 

また、事業を一部の担当者だけに任せるのではなく、さまざまな専門性を持つ人が関わりながら、チームとして構想を深めていくことも必要になる。既存の事業や組織の常識にとらわれず、社会の変化を捉えながら未来の価値を描く姿勢が、新たな事業を生み出す出発点になると学んだ。

  社名に込めた思い

社名に込めた思い
出所:ECOTONE企業サイト



社員のウェルビーイングを起点に、個性を生かす組織をつくる

講演では、社員が仕事を通じて自分らしく生き生きと過ごせる状態をつくることが、会社や組織の成長、新たな価値創造につながるという考え方が示された。同社では、社員を1つの型にはめて同じように動かすのではなく、それぞれの思考や状態を対話で感じ取り、人それぞれの性格や得意分野、仕事への向き合い方を認めることを重視している。主語を「会社」とおいて、組織や仲間との関係性を大切にする人もいれば、主語を「自分」とおいて、自分の関心や専門性を追求する人もいるため、全員に同じ行動や価値観を求めるのではなく、多様な個性が生きる環境を整える必要がある。また、ウェルビーイングは会社から一方的に与えられるものではなく、社員自身が自分の状態や在りたい姿を考え、主体的に行動することも大切である。個々の社員が自分らしく働けることが、結果として組織全体の活力を高めるという視点が印象に残った。

 

ECOTONEが考えるウェルビーイングイメージ

ECOTONEが考えるウェルビーイングイメージ
出所:講演レジュメ



一方的に届けるのではなく、共感を起点に価値を共創する

堂上氏は、企業が自らを中心に据え、商品や情報を生活者へ一方向に届ける従来型の「滝型モデル」に対し、人や企業、地域などが関わり合いながら価値を生み出す「渦型モデル」という考え方を紹介した。滝型モデルでは、企業が発信者となり、生活者は受け手として位置付けられる。一方、渦型モデルでは、企業だけが価値を決めるのではなく、参加する人たちがそれぞれの経験や知識、強みを持ち寄り、対話や共感を重ねながら活動を広げていく。そこでは、最初から完成された商品やサービスを提供することよりも、共感する人が集まり、関係性の中から新しい可能性が生まれることが重視される。ECOTONEの「ウェルル」に関する取り組みも、こうした考え方に基づき、人々のウェルビーイングを高める活動を広げようとするものである。企業が自社の価値を一方的に伝えるだけでなく、多様な主体が参加できる場をつくり、ともに価値を育てていくことが、これからの事業づくりに求められる姿勢だと感じた。

 

ウェルビーイング専門メディア「Wellulu」

ウェルビーイング専門メディア「Wellulu」
出所:ECOTONE企業サイト

PROFILE
著者画像
堂上 研 氏

ECOTONE 代表取締役社長