第12期ナンバーワンブランド研究会では、「価格決定力を生み出すブランド経験価値をデザインする」をテーマに、先進企業の事例から学び、企業の持続的成長を目指している。第2回は、ダイドーグループホールディングス株式会社の「発送の原点から繋がるコーポレートブランディング」、タビオ株式会社の「靴下産業の永続発展を目指すブランディング」を取り上げ、それぞれがブランド価値向上や顧客との信頼構築にどのように寄与しているかを講演いただいた。
開催日時:2025年10月28日(大阪開催)
はじめに
ダイドーグループホールディングスの祖業は「医薬品配置販売業」である。自動販売機を主力販路とした清涼飲料などを販売するダイドードリンコでは、現在も顧客の身近な場所に「箱」を構え、その箱を通じて顧客の暮らしに役⽴つ商品を届けるというスタイルを事業の中心に据える。自動販売機を通じて顧客の期待を超える体験を提供し、利便性や驚き、楽しさを追求することで、ブランドの信頼性や競争力を高めている。
三原氏は、機能的価値、情緒的価値、自己表現価値、社会的価値を消費者と企業で合致させるため、仕組みの構築→社内浸透を目的としたインナーブランディング→存在感を強化するためのアウターブランディングといった順にブランディング活動を実施し成長を遂げていると解説。企業が成長するためには、顧客のニーズを的確に捉え、それに応える商品やサービスを提供することが不可欠であることを学んだ。

研究会当日の様子
社会貢献型自販機の推進
社会課題への貢献は企業のブランド価値を高める重要な戦略であり、ダイドードリンコは、「新しさ」 × 「社会課題の解決」 × 「利便性」 × 「楽しさ」の基となる地域貢献や社会課題の解決に取り組んでいる。
例えば、「⼥性ヘルスケア応援⾃販機」では生理用品の販売を、また、子育て支援としておむつの自動販売機を開発。また、「緑の募⾦⾃販機」や「LOVE the EARTHベンダー」、「子ども食堂応援⾃販機」「災害救援⾃販機」など、顧客の「不」を解消し、ニーズに応じたサービスを展開している。このような取り組みは、企業の社会的責任を果たすだけでなく地域社会との信頼関係を築くことにもつながっている。地域や社会のニーズに応じたサービスを提供することで、ブランドの信頼性を高めることができるのだ。

子育て支援・地域支援自動販売機の例
ダイドーグループホールディングスのインナーブランディング
ダイドーグループホールディングスのインナーブランディングの浸透ステップは、①ブランドメッセージやブランド提供価値を認知している状態→②それらに込められた意味や背景を理解している状態→③それらに対して社員自身が納得し共感している状態→④ブランドメッセージに基づいて自律的に行動し習慣化となっている状態としている。
情報発信ツールを活用し、一貫した情報発信を実施することでトップの思いとリーダーシップを発信したり、阿波おどり研修会や社員向け決算説明会の定例化で体現できる場を全社展開。進捗状況を把握するために、毎年社員アンケート調査を実施やガイドラインの策定により活動の「見える化」を実施し次の施策検討に生かしている。これらの取り組みがブランドメッセージを共有し、社員全員が同じ方向を向くことで顧客に対して強い印象を与え、ブランドの認知度を高めていく要因となっているのだ。

新商品発表会の様子
ダイドーグループホールディングスのアウターブランディング
若年層を中心にブランドメッセージや企業グループのイメージ定着を図るため、グループ企業のテレビCMを制作。全国34放送局で放送したり、大型街頭ビジョンやYouTubeの公式アカウントにて発信した。また、企業ブランディングの強化、コスト最適化を目的に公式ウェブサイトをリニューアル。インフラ・運⽤コスト削減やアクセス向上を実現した。さらに、これまで年に1回で実施していた新商品のメディア発表会を、2025年は春夏商品、秋冬商品リリースのタイミングで実施。上期の広告換算値が240%増加したという。
社会貢献活動の一環としては「ダイドーの工作自動販売機キット」合計2,500個を大阪府に住むあるいは申し込みのあった子どもに無償で提供。自動販売機を題材に創造性を育めると好評だった。さまざまなアプローチを根気強く継続的に続けていくことで「DyDo」=「こころとからだに、おいしいものを。」の浸透を図っている。

インナーブランディング・アウターブランディング例。CMの一場面(左)。「ダイドーの工作自動販売機キット」アイキャッチ(右)
ダイドーグループホールディングス株式会社
コーポレートコミュニケーション部
※所属・役職は2025年10月時点