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研究リポート
PR/広報研究会
クロスメディア時代を生き抜くために欠かせない「PR/広報」の本質的価値と、顧客体験価値向上に成功している企業の事例を通して、最適なコミュニケーション手法を研究します。
研究リポート 2025.09.30

テレビ取材が殺到する6のテンプレート PR株式会社企画/株式会社カーツメディアワークス

【第4回の趣旨】
タナベコンサルティングのPR/広報研究会では、多種多様な企業の成功事例から、自社におけるPR戦略構築から具体的実装力を強化する方法を学び、自社の魅力を最大限に発信する広報・PRのメソッドを提供する。
第2期第4回のテーマは「ファンマーケティング/マスメディア活用による情報拡散」。PR株式会社企画とカーツメディアワークス(タナベコンサルティンググループ)のトークセッションにおいては、「テレビ取材が殺到する6つのテンプレート」をテーマに、テレビ取材の獲得率が上がる実際の報道ネタの作り方を解説いただいた。

開催日時:2025年8月29日(大阪開催)

(左)PR株式会社企画 代表取締役社長 知久 哲也氏
(右)株式会社カーツメディアワークス(タナベコンサルティンググループ) 代表取締役社長 村上 崇様

 

はじめに

 

株式会社カーツメディアワークス(以降、カーツメディアワークス)は、戦略PRからデジタルマーケティング、インフルエンサーマーケティング、テレビPR支援などの総合PRコンサルティングで、幅広い業種のクライアントを支援している。PR株式会社企画(以降、PR企画)の代表取締役 知久様は、「ZIP!」などの放送作家として活動するかたわら、テレビ露出に特化したPRコンサルタント業を手掛ける。

 

村上は過去事例とともに報道価値の考え方について、知久氏はテレビPRに焦点を置いた取材獲得の報道価値を付加するポイントを解説。実践なワークを通してその思考法を学んだ。


出所:村上講演資料より抜粋

 


 

“テレビ取材の獲得率が向上” する報道価値の作り方

 

PRにおける重要な三大要素はヒト、モノ、コトである。自社のネタでどのように報道価値を付加し、テレビ取材を獲得していくのか。報道価値を生むには、次の6つが必要な要素となる。①チャンネルが止まる「絵力」(ない場合は極端に大胆に変化させる)、②人の心を動かす「物語」(例:90歳のピザ職人)、③今の季節に国民が考えていること(例:夏はエアコンを使用するので電気代が心配)、④ニュースがキッカケで起きている現象(例:甲子園フィーバーに便乗! ○○グルメ)、⑤当たり前から少しズレている「違和感」(例:ギャル×霊媒師)、⑥何かの記録になっている(例:日本一、世界最大級)。

 

これらはまず、自由な発想でアイディアを出したり、拡散思考でテーマを考えたりする。次に、現実性や質を重視する収束思考でアイディアを絞り込んでいくことがポイントだ。


出所:知久氏講演資料より抜粋

 

報道価値を実際に生んだ成功事例と、メディアアプローチのティップス

 

大手家電メーカーでは、コロナ過という季節性と新業態のオープンという新規性を上手くかけあわせて報道価値を生んだことで、テレビ4番組、新聞・WEB230件以上の報道を獲得した。また、トランクルームを運営する企業では、引っ越しが多い時期という“季節性”と利用者一人一人のエピソードに着目した“物語性“を掛け合わせたことで、ニュース番組や「Yahoo!ニュース」をはじめとしたキュレーションサイトへの掲載につながった。

 

このように、メディアが好む、報道しやすい要素を組み込むことで露出拡大を図ることができる。


出所:村上講演資料より抜粋

 

報道価値の発見と活用で、ブランド価値向上へ

 

講演では、テレビ局の企画立案の裏側を通じ、メディアが報道価値をどう見出すかという視点を学んだ。企業は「ネタがない」と思考停止せず、この視点を応用することで、自社の活動や情報に新たな切り口を加え、報道価値を創出できる可能性がある。

 

また、報道された事実を単発で終わらせず、最大化させる戦略も重要だ。検索流入を見込みリスティング広告を事前に準備する、露出獲得後は自社サイトでアーカイブ化して発信するなど、報道を最大化・資産化する工夫次第で波及効果は格段に高まる。報道価値の発見と活用を両輪で進めることが、企業広報力の強化につながるだろう。経営において、広報活動が資産化すれば、継続的なブランド価値向上へとつなぐことができる。


出所:知久氏講演資料