【第3回の趣旨】
タナベコンサルティングのPR/広報研究会では、多種多様な他企業の成功事例から、自社におけるPR戦略構築~具体的実装力を強化する方法を学び、自社の魅力を最大限に発信する広報・PRのメソッドを提供する。
第2期第3回のテーマは「コーポレートPR/採用PR」。PMVV(パーパス、ミッション、ビジョン、バリュー)を軸にしたコーポレートPRや、採用活動をPR視点で戦略的に実装する採用PRについて、戦略の考え方をゲスト講師2社(LAUGH GROUP、北海道アルバイト社)にご講演いただいた。
開催日時:2025年6月26日(北海道開催)
はじめに
2005年、LAUGH GROUPは株式会社ラフダイニングを創業。「(うみ)の課題を解決し、笑顔の食卓を未来につなぎ続ける」をビジョンに掲げ、事業を展開してきた。そして「食の一気通貫事業」グループを目指し、LAUGH GROUPとして製造から物流・企画、小売、外食までの全てのプロセスを自社内で完結するグループ体制を構築。北海道の食を通して、地域の笑顔を未来につなぐ経営を推進している。
PR/広報研究会では、『ミッションリンク経営の重要性と、成果』をテーマとして、同社のミッションである「2048年問題を解決する。」を実現するための取り組みを代表取締役・大坪友樹氏にご講演いただいた。ミッションを軸にしたPR戦略のポイント、採用PRへつながった事例など、具体的な実践事例を交えながら詳しく解説いただいた。
LAUGH GROUPが手掛けるシハチ鮮魚店
出所:大坪氏講演資料
企業ミッションの体現方法
MVVを社内メンバーの何割が正確に言えるか――。講演中に大坪氏が参加者へ尋ねたセリフである。この問いかけに自信をもって100%だと言いきれる企業はどの程度いるのだろうか。大坪氏は使命と事業が100%リンクしているかどうか(誰かにつくられた言葉に力は宿らない)という強い思いがあり、リーダシップを発揮し、積極的にメンバーとミッション、ビジョンを共有する場を設けている。
掲げたミッションやビジョンが絵に描いた餅になっている企業は残念ながら少なくない。インナーブランディング強化の意識を高め、「熱量」(TOP使命と企業使命をリンクさせる)と「成果」(熱意と使命をリンクさせた業務内容)の実現によって、 MVVを100%浸透させることが“広報”のファーストフェーズにもつながっていく。
LAUGHGROUP MVV資料
出所:大坪氏講演資料
テレビ取材が多く来る理由は経済価値×社会価値
同社は広告費0円で全国テレビメディアから40回以上も取材を受けている。メディアが取り上げたいと思わせるPRネタを意識している広報戦略の賜物であろう。
これまでは経済価値さえあればメディアは企業を取り上げていた。しかし現在は、経済価値×社会価値を掛け合わせなければメディアが興味関心をもたない。
メディアが食いつくようなネタとなることを意識し、経済性と社会性の共通ポイントを探し出しながら、社会課題や地域課題を解決するさまざまなメディアに取り上げられる仕組みを作っている。
出所:大坪氏氏講演資料
地域を巻き込む「広報」の具体的戦術
事業=全員が広報部、店舗=海を伝える広報部、おもてなし=事業を伝える手段(飲食→食べさせ方の追求)という視点をもち、株価<企業価値=「オモロイか」「尖っているか」の考えを軸に広報活動に取り組んでいるという同社。
例えば、飲食店において二次元バーコードを読み取ってメニュー選択ページに入ると、2048年問題(2048年には、海から食用魚がいなくなる)の情報をはじめ、同社MVVや事業内容を伝える動画やSNSなどの紹介が閲覧できるような仕掛けが成されている。手のひら(スマートフォン)から魚屋の情報を展開し、リアル店舗から通販(EC)への誘導を高め、売上高向上につなげている。
ミッション、ビジョンを伝える活動そのものが共感を生み、採用広告に大きな投資をせずとも同社は人材が集まる仕組み化ができている。積極的に自社を発信することが採用にも好循環を生んでいる。
出所:大坪氏氏講演資料

代表取締役