【第2回の趣旨】
住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会では、全国の各エリア、地域で成長・成功している「住まいと暮らしドメイン」の優良企業を視察訪問している。
第11期のテーマを「事業領域拡大×事業サービス化の視点で挑むハイブリッド経営」とし、第2回はミナモト建築工房、ウッディワールドのざき、ワークスマイルラボをゲストに迎え、視察および講演を実施。2日目はWORK SMILE LABO代表取締役の石井氏にご講演いただき、岡山県の「働きたい企業No.1」である同社のビジネスモデル変革の要諦を学んだ。
既存の売り方を変えることで同社は成長し続つけており、同社の事例を通じて、これからのビジネスモデルの在り方について考えたい。
開催日時:2024年12月26~27日(岡山開催)
WORK SMILE LABOとは
WORK SMILE LABOは、岡山を拠点として笑顔あふれるワークスタイル創造提案業を展開。笑顔あふれる「働き方」を通じ、縁ある人のより良い人生を追求することを経営理念とし、顧客との関係を強固に築いている。
業績は、2009年と比較すると2023年には粗利4.9倍、経常利益2.4倍と異例の成長を遂げた。成功要因となったのは、社員の働きやすい環境作りと常識にとらわれないビジネスモデルの転換にある。また、数々の賞を受賞していることからメディアでの露出も多く、業界を問わず注目を集めている。
WORK SMILE LABOのフィロソフィー、ビジョン、ミッション
(出所: WORK SMILE LABOホームページより)
明治44年に文具店からスタートし、現在では生産性向上をサポート
同社は1911年に筆や墨を売る文具店として創業。その後、事務用品・オフィス家具・OA機器の販売を主な事業として、地域の顧客との信頼関係を築いてきた。しかし、2008年に起こったリーマン・ショックの影響で同社は倒産寸前となった。また、石井氏が社長に就任した2015年当時には、オフィス販売業界は衰退傾向にあり、事務機で他社と差別化を図るのは難しいと判断。事務機を売るのではなく、同社で扱っている事務機で企業の働く環境をサポートすることに事業を転換した。つまり、事務機の価値(モノ)を「より良い働き方」(コト)を提供することに変えたのである。このような取り組みが、右肩下がりであったオフィス販売業から「笑顔溢れるワークスタイル創造提案業」へ大きく変化することとなった。「『働く』に笑顔を!」のコンセプトを掲げ、まずは自社で経営課題の解決につながるワークスタイルのモデルを創り、その事例を基に顧客へより良いワークスタイルを提供している。
訪問販売型から来店体験型への転換
同社は創業100周年を目前に倒産寸前の経営危機に陥る。当時、事務機の差別化は難しく、業界全体で価格競争が激しくなっていた。これまでと同様の売り方(訪問販売型)では何も変わらないため、「働き方を提案する」よう売り方を切り替えた。まずは、顧客から「働き方をまねしたい」と感じてもらう必要があるため、テレワークや、ITツールなどを導入。次に販売方法を来店体験型にし、1日当たり2社程度に「働きやすい職場環境」を体験してもらうようにした。その結果、今では全国から問い合わせがあり、同社の「働きやすい職場環境」を取り入れる企業が増えている。今後も業界の常識にとらわれないビジネスモデルを展開していくことで、業界の先駆者であり続けたいと石井氏は話す。
来店体験型ビジネスモデルで成長をし続ける
働きやすい環境づくり等を整えたことで、岡山県内で新卒採用人気ナンバーワン企業へ
同社は2015年に掲げた10年ビジョンを達成するため、価値観を合わせられる若い人材を採用できる仕組みを整備した。まずは、自社で働きたいと感じてもらえる環境づくり(コト提供)に取り組んだ。その当時、世間ではテレワークという言葉にまだ馴染みがなかったが、テレワークを推奨し、そのほかのDXも推進。育児休暇が取得できるよう職場環境を整えた。
大手企業を含めた「数多の企業の中から自社が選ばれるためには何が必要か」を追求し続け、理念ビジョン共感型採用を導入。学生自身のビジョンを聞き、同社役員からもビジョンや理念を伝えることで選考を進める 。このような取り組みを続けた結果、岡山県内における2023年度希望就職先ランキングで1位を獲得し、日本中小企業大賞2023MVP&最優秀賞も受賞した。
インターン型の選考会「ワクチャレ」の様子

代表取締役