継続的な技術開発によって独自の技術を進化させ続け、プレストレスト・コンクリートやニューマチックケーソン、補修補強の各事業において安定した業績を上げている。また、個性派ぞろいのグループ会社(日本橋梁・タイコー技建・山木工業・クリエイティブラボ)を支援・強化し、グループ全体の競争力を底上げしている。
確かな技術に裏打ちされた様々な分野における高いシェア、総合建設業の中でも高い営業利益率、スーパーゼネコンを上回る高い研究開発費率、大手と肩を並べる特許料収入、高い若手定着率など、建設業における共通課題に対する取り組み事例として、学んでいきたい。
開催日時:2024年12月3日(大阪開催)
大阪支店 執行役員 副支店長 多仁 正芳 氏
技術本部 西日本業革推進部 西須 稔 氏
現場視察の様子
建設現場の業務改革を会社の重要戦略として取り組む
働き方改革の建設業への適用が迫り、現場の労働時間の高止まりが大きな経営課題として浮き彫りになった。そこで2020年に本社技術本部の中に、現場での事務業務を1カ所で集中して対応する部署(バックオフィス形式で当社初の部署)として「業革推進部(東日本・西日本)」を発足した。
技術本部長のリーダーシップのもと、各部門から経験豊富な「専任者」(現在は兼任者もいる)を選出し、業務改革を進めるにあたってのコア部門として位置付けた。リモートワークを主体としている業革推進部メンバーからは、「通勤時間が無くなったのでフルタイムで働いても子供の送迎ができる」「家族との時間も増えてメリットしかない」など好評である。
オリエンタル白石の業革推進部の組織図上の位置づけ(出所:講演レジュメより)
具体的な実施内容
現場から業務支援者への業務依頼は、全て「差配人」を通すことをルールにしている。
初期打ち合わせには関わる全員が参加するが、現場と支援者との直接コミュニケーションは基本的に行わず、品質や納期コントロールも含めて、窓口は差配人のみである。
実際に業務支援者が実施している業務としては、システム入力・図面作成・マンガ図作成・手書資料の読取・データ整理・写真整理など、非常に多岐にわたっている。ただ、未経験から徐々に業務範囲を広げていったので、スキルアップの仕組みは重要で「社内研修」「アダプティブラーニング」「CAD資格取得」など多面的に実施している。
この機能は現場に認知・信頼してもらうことが重要なため、現場からの依頼方法は敷居を低くするためできるだけ簡素にして社内実績を積み上げている。
業務支援スキームと具体的な取り組み内容(出所:講演レジュメより)
建設業界のブランディング
2021年に社内ベンチャーとして事業を立ち上げた「クリエイティブ・ラボ」は、建設業界全体のリブランディングを目的としている。現在は全国に350社以上の会員がおり、“建設業界を持続可能に(働く人を確保)”することをビジョンに掲げ、「小中学生に正しい建設業の情報提供を行い進学の選択肢を増やす」「建設業に無関心な人を振り向かせる」「親・先生・友達が抱く建設業へのネガティブな印象を改善する」ためのキッカケづくりをしている。
具体的には、建設会社・建設コンサル・建設関連会社・テック企業・スポンサー企業などで“ワンチーム”となり、子どもや学生向けコンテンツ(アニメや短編映画)作成・運営、業界企業向けコンテンツ(ポータルサイト)を活用した業務支援などを行っている。学生・学校との交流会、YouTube対談、講演、メディア取材などを通して活動の拡大を行いながら、業界の人柱としてブランディングを加速させている。
クリエイティブ・ラボのパートナー企業とプロジェクトスキーム(出所:講演レジュメより)