当研究会では、データの活用による付加価値向上と人材育成の推進、そのための骨太のDX戦略をテーマとしてDX推進のヒントを提供。生成AIなどの先進的なDX推進活動による顧客とのコミュニケーションモデルの創造や、革新的な業務改善に取り組む企業を紹介する。
第2回のテーマは、「データの源泉は現場にあり」。経営目的達成のために、いかに効率よく現場のデータを収集し、活用するか。全社員のベクトル統一、実行力強化の重要性について、特別ゲスト2社による講演を通じて参加企業へ提供した。
2024年11月14日(大阪開催)
はじめに
日伝は大阪市中央区に本社を構え、国内に5支店・35営業所、5カ所の物流センターおよびテクノセンターを配置し、地域密着営業体制を整えている。さらに、海外には5カ所の現地法人を配置するなどグローバルにも展開している。
サポートメニューは、時代に即した新しい市場ニーズに対応すべく、「IoTソリューションチーム」「ロボット・自動化システムチーム」「油圧機器技術チーム」の3チームが工場のさまざまな課題を現場主義で解決している。
同社は、80年の歴史を誇るメカニカルパーツ・システムの専門総合商社として、専門的な深い知識、広く総合的な課題解決力を持つ「モノすごいヒト。」集団を目指して人の力を連携させて未来に貢献し続けている。
日伝が掲げる「モノすごいヒト。」
出所:日伝ホームページ
IoTによる課題解決メソッドを発信
同社は、製造現場における“あるある”や、工場の課題をIoTで解決するためのソリューション提案にも拘りを持っている。
例えば、パッケージカタログでは製造ラインの課題を手軽に解決するための「簡単スタートパッケージ」をはじめ、設備のデータを収集・活用し、品質向上や原価低減を実現するためのシステムを紹介する「活用パッケージ」、さらには人協同ロボットを扱うカタログもある。これらのカタログは、課題と解決方法が可視化されており、自社にどのようなソリューションが必要なのかを直感的に判断できるため、工場の課題解決メソッドとして活用できる。
また、カタログで紹介しているソリューションは自社の展示ブース「&N LABO」で実際に見て触れることができるなど、IoTによる課題解決のための情報をさまざまな形で発信している。
日伝の展示ブース「&N LABO」
電力の見える化とカーボンニュートラルへの取り組み
カーボンニュートラル実現に向けた取り組みは、中小企業にとってメリットが大きい。例えば、省エネによるコストの削減や資金調達手段の獲得が可能となる。また、近年では使用電力をデータ化できる企業が評価されている。生産現場におけるカーボンニュートラル実現に必要なのは電力の見える化であり、消費電力の削減は基本的なCO2(二酸化炭素)抑制対策につながるからだ。
電力の見える化を実現するためには、電力集中監視システムにより現場設備のデータ収集から見える化までをトータルにサポートすることが重要であり、デジタルとアナログの両面をカバーする必要がある。同社は、工場現場に合わせて拡張することが可能なサービス提供体制を構築している。
設備稼働を監視できるシステム「PATLITE」
デジタル化による人手不足の解消
製造業における課題は多く、アナログ作業による属人化、人材確保、作業者の改善マインドが低いなどさまざまである。これらの人材に関係する課題を解決するためにも、製造設備への投資と生産性の向上は不可欠だ。
同社は人材に関する課題を解決するソリューションも提供しており、プロジェクションマッピングを活用した組立支援システムでは、プロジェクターによる明確な部品取り出し指示と、作業指示書の投影を行うことで作業ミスゼロを実現している。
物流現場における搬送の自動化では、コンテナ・カゴ台車・コンベヤ・ハンドリフト・6輪台車搬送や、無人フォークリフト、ピッキングカートなどのさまざまな搬送用途に適したロボットを提供している。
このように同社は、現場の課題に向き合い、人に寄り添った考え方のもと、人手不足の解決や生産性の向上を実現するために日々研究・開発に取り組んでいる。
プロジェクションマッピングによる組立支援システム(左)
ロボットパレタイズ・デパレタイズシステム(右)
西部MEシステム本部 専門部⾧