企業価値を高める戦略CFO研究会第5回テーマは、「企業価値を高める長期ビジョン・価値創造ストーリー」。
今回は、CFOという立場から財務戦略面でどのような成長戦略を描くことが企業価値向上につながるのか、株主との対話はどのようにすれば良いかなど、具体的な事例を通じて学びを深めた。
2024年10月22日(東京開催)
取締役 グループ執行役員CFO 兼 CSO 金坂 直哉 氏
マネーフォワードは、お金・資産管理の家計簿アプリ「マネーフォワード ME (ミー)」など、個人・法人向けに金融系のウェブサービスを提供している。
今回は、マネーフォワード取締役グループ執行役員CFO兼CSOの金坂直哉氏より、「マネーフォワードの企業価値向上戦略」と題して、今後の成長戦略やPBR(株価純資産倍率)を意識した経営についてご講義いただいた。
同社は、M&Aで企業規模を拡大し続けている。成長性があると判断すれば、同業以外でもM&Aを実施してきた。また、海外においては2018年からインドネシア最大のクラウド会計会社へ出資を行った。同社は、親会社・子会社という表現は使わず、「グループ会社」という表現で統一しており、グループの一体感を醸成している。
M&Aを行った企業は、グループジョイン後も成長し続けている
同社は設立以降、持続的な成長に注力してきたが、資本市場に向けて中長期の財務ターゲットを公表し、成長戦略を推進している。今後はより収益力を高めていく方針だ。
また、同社は投資家との対話を大切にしており、海外の投資家に向けても積極的に説明を行うことで、信頼関係を構築している。
中長期の財務ターゲットを公表し、成長戦略を推進
高PBRを実現するためには、ROE(自己資本利益率)の向上が不可欠である。ROEを向上させるためには、自己資本を持ち過ぎず、会社全体の利益を上げることが重要だ。
一方、マーケットからは毎四半期利益を向上させていく経営を求められるため、新規事業への投資が絞られてしまう。「新たな収益の種となる新規事業への投資(M&A含む)はバランスが非常に重要だ」と金坂氏は語る。
また、ここでも投資家との対話が重要であり、「なぜこの売り上げ・利益につながっているのか」、平均単価や顧客数など個別要素に分解し、分かりやすいIR資料を作成している。高PBRを実現するためには、マーケットからの理解が不可欠なのだ。