株式会社竹徳は、1905年創業、業歴119年を迎え、東京都墨田区を中心に総合建設業・不動産業を展開する。総合建設業として、国内では中高層のマンション、発電所の宿舎等の仮設建築物の建築、海外では中近東中心の海外工事に参加している。また、不動産開発事業、不動産賃貸事業を展開し、不動産証券化にも取り組む。経営理念に「蛻変(ぜいへん)の経営」を掲げ、外部環境に適応し経営革新を追求し事業モデルを進化させ事業継続を果たすことを目指している。
同社は健康経営を会社方針に掲げ、従業員への健康促進を図り、健康で働きやすい職場環境づくり、働き方改革に全社で取り組んでいる。これらを社内で速やかかつ着実に実行するとともに、社労士診断認証制度の宣言企業の認証、健康優良企業の認定を活用・取得し社内外への発信強化を進めた。健康経営優良法人2024ブライト500に認定され、東京都墨田区健康経営顕彰制度では「横綱」(最優秀賞)の認定を受けている。中小建設業の働き方改革と人材確保の取り組みについて学んだ。
開催日時:2024年9月25日(東京開催)
取締役総務部長 今井 靖 氏
まなびのポイント 1:「人的資本経営は、健康経営がベース」の考えのもとすべきことに全て取り組む
独立行政法人労働政策研究・研修機構調査によると、離職理由の最上位が「肉体的・精神的に健康を損ねたため」とある。同社は「人的資本経営は健康経営がベース」の考えのもと肉体的・精神的な健康を維持するため、すべきことに全て着実に取り組んでいる。
働き方改革の推進として、勤怠管理システムによる入退勤時刻の適正管理など、20項目以上の取り組みを行っている。生活習慣病の予防としては、健康診断結果をもとに傾向を分析し、国の標準を上回るよう生活習慣の改善を図り、全員参加の秋のウォーキングイベントなどのユニークな取り組みも行っている。当たり前のことを着実に各種施策に落とし込み展開することで、人材の定着が大きく改善し、採用への効果も高めている。
(出所:講演レジュメより)
まなびのポイント 2:実態把握から4年かけての働き方改革推進にチャレンジ
2020年4月からまずは実態把握から開始し、課題を抽出し改善策を策定・実行した。取り組みに向けた協議の場として安全衛生委員会を活用し、各部門長と現場の担当者が順番に参加して毎月討議を重ねた。主な実施内容は以下の通りである。
第1に、就業規則、賃金規則などの整備である。就業形態に応じて4コースに分け新賃金体系を導入、裁量労働制からシステムによる労働時間管理を取り入れ、時間外・休日労働時間を明確にし、一定の固定残業代を設定した。週休2日制、時差出勤制度も導入した。
第2に、DX推進と業務の標準化である。写真管理のITツールとしてフォトラクション導入により1日2時間の業務を5分に短縮、RPA導入による経理・請求書・受発注管理の効率化、また協力会社とともに安全書類の標準化を実施した。
(出所:講演レジュメより)
まなびのポイント 3:3Kから新4Kの実現を目指す!業界のイメージを変える!
各種施策の実行により、人材の定着が大きく改善し、採用への効果も高めるなど以下のようなさまざまな効果が現れている。
- 過重労働の抑制とメンタル疾患者の減少
- 社員の健康寿命の促進と雇用の長期維持
- コミュニケーション・組織の活性化
- エンゲージメントの向上
- 離職率の低下
- 企業ブランディングの向上・採用への効果
同社は、中小建設会社としての自社の強み・魅力の発信、志望度が上がる採用プロセスの工夫と定着化施策の実施により、新しい建設業界、企業イメージ作りに挑み続けている。
建設業界の3K(きつい、汚い、危険)を払拭し、新4K(給与が高い、休暇がとれる、希望がある、かっこいい)の実現を目指している。
写真管理:フォトラクション
出所:講演レジュメより