【第1回の趣旨】
コンシューマービジネス研究会では「コンシューマービジネスの未来像」をテーマとし、講義や視察を通して高収益、高成長を遂げる優良企業から「新たな価値」を創造するための取り組みを学ぶ。
第1回2日目にはサザビーリーグ益田義徳氏に、「マルチブランド展開企業のM&A戦略と事業共創造プロジェクトを用いた新規事業のつくりかた」についてご講話いただいた。
開催日時:2024年9月13日(東京開催)
ディレクター 益田 義徳 氏
はじめに
サザビーリーグは1972年にユーズド家具の輸入販売として創業。「手が届く価格でこれまでの生活が少し楽しくなるような商品」は、新しい価値観として多くの顧客に受け入れられてきた。現在は「It’s a beautiful day.」をミッションに掲げ、Ron Herman、Afternoon Tea、ageteなど40超のブランド、577店舗を展開。服飾雑貨から飲食、生活雑貨まで幅広いライフスタイルブランドを取り扱い、クリエイティブリテーラーとして「半歩先のライフスタイル」を提案している。また、海外出店やM&Aのほか、「生活文化実験室」をコンセプトに、事業共創プロジェクトである「LIVE LABORATORY」を用いた新たな商品・サービスを創出。顧客体験DXソリューションを通じて社会課題の解決と顧客体験価値の向上に貢献している。
サザビーリーグビジネスディベロップメントグループが取り扱う40ブランド(出所:サザビーリーグビジネスディベロップメントグループ
提供資料)
まなびのポイント1:サザビー流、「半歩先のライフスタイル」創造の取り組み
創業から多岐に渡るライフスタイルビジネスを展開し、現在40超のブランドを有しているサザビーリーグ。事業の本質(深堀り)には熱量が重要であると考え「側+熱量」による参入障壁づくりに取り組んでいる。
また、事業ポートフォリオからリスクヘッジを行い、現在はリテール領域からブランド・人材・ノウハウなどのソフト領域へと拡大させながら、コンシューマー領域とBtoB・テクノロジー領域という半歩先の領域へ展開することで、一歩でも二歩でもない「半歩先」を見据えたライフスタイルの提案を行っている。
まなびのポイント2:「LIVE LABORATORY」とは?
「LIVE LABORATORY」とは、募集プラットフォームAUBA(アウバ)を用いて協業を提案してもらうオープンイノベーション・プロジェクトである。同社は「半歩先のライフスタイル」の提案にあたり、新たな出合いを求めて「LIVE LABORATORY」を構築した。プロジェクトでは、単なる売り込みではなく「オフライン・オンラインに関わらず、ブランドの世界観を新しい形で届ける顧客体験DXソリューション」、「サザビーリーグの既存ブランドを活用した新たな商品・サービスの創出」という2つのテーマを設け、既存ブランドとの協業に限定して募集を行うことで、事業化の確度を高めた。
「LIVE LABORATORY」(出所:サザビーリーグビジネスディベロップメントグループ提供資料)
まなびのポイント3:「LIVE LABORATORY」から学ぶ新規事業のつくりかた
「LIVE LABORATORY」プロジェクトには75社が応募し、一次選考には28社、2次選考には14社が進んだ。提案内容としては、AI、AR・VR、推し活などのトレンドを踏まえ、集客力のあるブランドとの協業実績より競合優位性を図りたいというニーズが多く見られた。
加えて、自社技術・ノウハウとサザビーリーグのブランディング力を持って課題を解決したいという「社会課題解決型」の提案が特徴として見られた。選定にあたっては同社のミッションである「It’s a beautiful day.」の視点から、社会的意義の有無が重視されたという。現在は、EC向けユーザブル梱包材や人手不足を解決する無人店舗などを検討し、社会課題解決と顧客体験DXソリューションの提供、自社にないリソースの獲得を図っている。
オープンイノベーション・プロジェクト「LIVE LABORATORY」