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研究リポート

人材育成研究会

EVP(従業員に対する価値提案)を高め、社員のエンゲージメントを向上させ、自律的に成長する・会社に貢献する人材を生み出していくためのヒントを優秀企業から学びます
研究リポート 2024.07.05

「つながり続ける」から実現するエンゲージメントの高め方

臨海

【第2回の趣旨】
タナベコンサルティングの人材育成研究会は、最先端の教育制度や人材育成の仕組みを持つさまざまな企業への視察を通じて、人材の育成・活躍・定着を成功させるヒントを提供している。
第2回は「大企業が取り組む、新しい人材マネジメント」をテーマにゲスト講師3社を招き、それぞれの取り組みについてお話を伺った。

開催日時:2024年4月24日(東京開催)

 

 

 

はじめに

 

臨海は、1974年に個人塾としてスタートし、現在は小学生から高校生を対象とした学習塾のほか、社会人向けの英会話やTOEIC対策スクールなども運営している。地域の要望に応えながら神奈川県を中心に528校(2024年4月現在)まで拡大し、今年で50周年を迎える。

 

同社は「人を大切にする会社」というスタンスを明確に打ち出し、それに沿って採用から退職後に至るまでの全フェーズでさまざまな取り組みを展開している。方針に基づく一貫した取り組みが、同社の成功のポイントといえるだろう。

 

 


 

まなびのポイント1:「人を大切にする会社」の体現

 

臨海の取り組みのうち、「人を大切にする会社」というコンセプトを最も体現しているのは、内定後の教育制度と退職後のアルムナイ制度である。

 

内定後の教育は、新卒社員の早期戦力化を目的として行っている。入社後スムーズに仕事に取り組めるよう、一人一人に担当者(メンター)を付けて同社の思いや取り組みを伝え、個人の特性を踏まえたサポートを実施。内定期に下地をつくることで新卒社員の不安を軽減し、配属後、スムーズに社会人生活をスタートできるように支援している。

 

アルムナイ制度は、同社の退職者を対象とした同窓会である。アルムナイ同士が交流するだけでなく、独立開業を応援したり、アルムナイ向けに設置された窓口から気軽に再入社の相談ができる。社員を自社に囲い込むのではなく、それぞれのキャリア形成に寄り添って応援する姿勢は、まさに「人を大切にする」という同社の思いの表れといえよう。

 


株式会社臨海 第2統括部 統括部長 /人材育成センター
センター長 高橋 勉 氏

 


株式会社臨海 人事部 管理課
専門総合主任 小野 咲也絵氏

 


株式会社臨海 人事部 社員採用課
総合主任補佐 大池 雄一氏

 


株式会社臨海 人事部 アルバイト採用課
総合主任補佐 平瀬 圭氏

 

 

 

まなびのポイント2:個にフォーカス

 

一人一人の「個」に向き合うことも、臨海が新卒社員の早期戦力化やエンゲージメント向上に成功している要因といえる。例えば、同社の採用はインターンシップ型選考により行われている。応募者は学習塾を想定した授業を行い、臨海の社員からフィードバックを得ることで、実際の仕事の楽しさや難しさを体感できる。

 

また、複数回の面談を通じて共にキャリアを考えることで、ミスマッチのない一人一人に合った選考を実施。面談は2次選考だけで3回程度行うなど、応募者のキャリア形成に徹底して寄り添っている。

 

内定者には一人一人にメンターが付き、入社後もサポートすることで、困ったときに気軽に助けを求められる環境を整備。メンターが新卒社員を配属先まで引き継ぐため、事業部と入社者の双方に安心感を与えている。

 

 


実際の仕事を体感できるインターンシップ型選考 出所:講演資料

 

 

 

まなびのポイント3:アルムナイとのつながりを生かした採用活動

 

臨海は就活生に対するPRの方法も特徴的だ。同社が就活セミナーとして実施した「アルムナイサークル」には、すでに同社を退職し、さまざまな分野で活躍するアルムナイ(卒業生)が登壇する。

 

就活セミナーに参加する学生たちは、志望する業界を決めかねていることも多い。そんな学生たちに、幅広い業界で働く社会人の姿を見せることでキャリア形成を後押しすると同時に、ファーストキャリアとしての臨海の良さをアピールしているのだ。

 

臨海は他社と比べて充実した研修制度を持っており、アルムナイからはファーストキャリアとして高い評価を得ている。「個」に合ったキャリア形成を応援して社員との関係性を築き、退職してもアルムナイとしてつながり続けている同社だからこそできる取り組みである。

 

 


「アルムナイサークル」の様子 出所:講演資料