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研究リポート

『成長M&A』実践研究会

「戦略」と「実行のスピード」をポイントに、アフターコロナ時代に求められる戦略の方向性と、それを実現するためのM&A・アライアンスの手法を学びます
研究リポート 2024.06.19

MCPキャピタルの投資戦略と投資後のバリューアップ

MCPキャピタル

【第6回の趣旨】
タナベコンサルティングの成長M&A実践研究会は、独自のM&Aモデルを確立している企業から、M&Aノウハウと業種の特徴を取り入れた事例を学ぶ場を提供している。第6回は「事業承継M&A・資本施策・EXIT」をテーマに、ゲスト2社(MSC、MCPキャピタル)を迎え、EXIT手法のポイントや事業承継M&Aの実例について講演いただいた。

開催日時:2023年12月7日(大阪開催)

 

 

MCPキャピタル株式会社
ヴァイスプレジデント 西澤 領太 氏

 

 

はじめに

MCPキャピタルは「中堅・中小企業の持続的な成長を支援します」という理念の下で、M&Aを一つの手段として、事業承継などの支援に始まり、ロールアップなどによる中長期的な成長を目指して活動している。2000年より業務を開始し、累計6本、総額1500億円のファンドの運用を行っている。

 

MCPキャピタルの特徴は、次の4点である。

①20年超の運営実績を誇る老舗ファンドとしての実績と安心感
②長期にわたる支援および多様な持分譲渡実績
③出資先企業に対する経営支援
④豊富なIPO実績

 

今回は、PEファンドの活用による資本面・事業面の再構築の方法について講演いただいた。

 

※プライベート・エクイティー・ファンド:未上場企業への投資を行い、経営支援を通じて企業価値を向上させ、最終的にはIPO(株式公開)などで収益を上げるファンド

 

 


 

まなびのポイント 1:PEファンドによる支援の概要

ファンドは、企業が抱える事業承継などの課題に対し、資本面に加え、経営・事業面に対する支援も実施する。

 

①資本参画:ファンドは株主から原則として過半数(通常は2/3以上)の株式を譲受し、企業に資本参画する。

②事業に対する支援:参画中の経営は、原則として現経営陣に委任。現経営陣と連携し、事業の成長・経営管理体制の強化などに向けた取り組みを支援

③EXIT:ファンドは事業承継および企業成長を十分に支援した後、経営陣と協議の上、保有する持分を譲渡する

 

 

 

 

 

 

まなびのポイント 2:PEファンドによるM&Aの流れ①

①ソーシング

ターゲット企業の選定、銀行・証券会社・M&A仲介会社などとターゲット企業への初期的アプローチを行う。最近は複数のファンドに声を掛けるターゲット企業も増えてきている。

 

②オリジネーション

特定ターゲット企業への提案活動を開始し、企業の外部・内部環境に関わる調査分析を行う。また、バリューアップ仮説の検討・検証を行う。

 

③エグゼキューション

デューデリジェンス(DD)を行い、株式売買契約の内容について交渉する。また、LBOローンに関わる交渉も行う。

 

※レバレッジド・バイアウト・ローン:M&A対象会社(売り手企業)の信用力を担保に融資を受け、買収資金を調達する手法

 

 

 

まなびのポイント 3:PEファンドによるM&Aの流れ②

④バリューアップ

企業価値向上に関わる各種支援(事業承継案件では数字の見える化/予算管理の導入・規程整備/決裁権限再整備など)を行う。その中の一つとして、ロールアップ (ファンド投資先からの追加M&A)を実行するケースが多い。

 

⑤EXIT

保有株式を下記の方法で譲渡する。

・戦略的パートナーへの譲渡する(第三者譲渡)
・株式上場する(IPO)
・役職員への譲渡する(MBO:自己資金型MBO、デットMBO、ファンドMBO)
・自己株買い