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研究リポート

マネジメントDX研究会

企業は世の中の価値観の変化に対応し、持続的に成長する必要があります。自立型組織を構築し、実行力ある企業になるための進化型見える化を学びます。
研究リポート 2024.06.13

DXによる生産性UPと人づくり

TOKO

【第5回の趣旨】
タナベコンサルティングのマネジメントDX研究会は、デジタル戦略のケーススタディー・ワークショップを通じてデジタル戦略のロードマップを描くことを目的としている。今期は「従来の見える化手法とDXを横断し、マネジメントをアップデートする」をテーマに掲げている。
第5回は、「デジタルオーガナイズ」を研究テーマに、企業の成長段階やリソース、風土などの諸条件を加味しながら、自社オリジナルのデジタル化を推進する体制について学ぶ。

開催日時:2024年5月20日~21日(北陸開催)

 

 

株式会社TOKO
専務取締役 佐々木 紘 氏

 

 

はじめに

TOKOは、福井県鯖江市に本社を置く、1955年創業の建材メーカーである。アルミ製折れ戸「イスターカーテン」や、住宅用全開放窓「ウインドイスター」など、空間の有効利用をコンセプトにした製品を開発・製造・販売。「イスターカーテン」は2014年にグッドデザイン賞を受賞するなど、高く評価されている。

 

エクステリア商品としては、住宅の駐車場前に設置する「カーテンゲート」を提供。薄さを追求したタイプや強度に優れたタイプなど豊富なラインナップをそろえている。

 


商業施設「くるふ福井駅」(福井県福井市)の「イスターカーテン」施工例。土産物売場の管理用シャッターとして設置

 


 

まなびのポイント 1:DX推進のためのシステム開発の内製化

TOKOでは生産性の向上はもちろんのこと、「誰でも同じレベルの高品質なものづくりができること」を目指し、IT化・機械化を進めている。

 

DX取り組み当初のシステム開発は外注頼みだったが、業務の一新は現場からの抵抗も大きく、導入までに多くのコストと時間を費やした。そこで当社では、システム開発に踏み切った。これにより現場にとってより使いやすいものを短期間開発することに成功しただけでなく、生産全体でのDX推進を加速させることにもつながった。

 

 


TOKOの本社ビル階段に掲示された、新5s活動を促すスローガン。問題・課題に“気づく”ことが「かいぜん」の第一歩

 

 

 

まなびのポイント 2:DXによる生産性向上と人材育成

当社ではデジタルや生産性など各部署が抱える課題を話し合い、解決へ導くことを目的とする「効率化委員会」を中心に、全社でのシステム化を推進している。

 

本委員会では、現場の人材だけでなく、若手社員も巻き込み、課題に対する解決策を検討している。中には社員から良い反応がもらえないこともあったが、まずは行動を促すことで、社員の意識改革を促進した。特にデジタルについては社員からの反対もありながらも、「まずは行動」することで徐々に社員のITリテラシーを高めることに成功した。

 

 


本社エントランス。TOKOの製品のテーマである「開放感」を掲示している

 

 

 

まなびのポイント 3:間接業務の効率化と営業支援体制の強化

間接業務のシステム化による受発注業務、作図の自動化や、営業支援システムを内製でアレンジしアナログだった納期調整をシステム化し、作業の無駄、確認の無駄、探す無駄、ペーパレスなど、ヒューマンエラー解消も寄与し、社内レスポンス向上により大幅な業務の効率化につながった。

 

また社内効率化で作った自動作図機能をホームページに搭載させ、依頼履歴のデータを活用し、新規開拓の営業も強化され売上も向上した。

 

 


働きやすい環境づくりの一環で,、スタイリッシュな社員食堂も整備されている