【第2回の趣旨】
当研究会では、報道する立場であるメディア目線からクロスメディア時代の経営モデルに不可欠な本質的価値と最先端事例を学び、メディア・ステークホルダーを戦略的に動かして物やサービスを売る方法や、自社の魅力を最大限に発信する広報・PRのメソッドを提供する。
第2回は、東京片岡英彦事務所代表取締役社長の片岡英彦氏より、物やサービスが売れる空気をつくる戦略PRについてご講演いただいた。
開催日時:2024年4月25日(東京開催)
代表取締役社長 片岡 英彦 氏
はじめに
2011年設立の東京片岡英彦事務所は、戦略PRの視点からコミュニケーション戦略の立案と提案を手掛けるPR会社である。同社のキャッチコピーは、「組織や人や地域を幸せに、コミュニケーションをデザインする事務所」だ。
戦略PRは、2013年ごろからマーケティング業界を中心に注目され始めたPRに関する考え方である。現在においても、物やサービスを販売するために欠かせないコミュニケーションの概念と言える。
戦略PRの定義は、「物やサービスを直接PRするのではなく、まずは関連の市場に働きかけることで、物やサービスが売れる空気、または話題をつくり出すこと」。戦略PRを推進することで、長期的に物やサービスを効率良く売ることができる。
東京片岡英彦事務所のロゴ
まなびのポイント 1
戦略PRを推進する上で、一時の話題性を狙った短期的施策のPRではなく、中長期的に物やサービスが売れる空気をつくることが重要だ。ポイントは次の3つである。
⑴仕掛け・場づくり
話題になる仕掛け(パブネタ:パブリシティの話題)づくりや、露出を前提とした構成、クチコミの場づくりなど
⑵ターゲットの関心に合わせた構成
オープン・クローズ情報か、積極・受動的かを考慮
⑶PDCA
企画を考え、仕掛けを実施し、PDCAを回す
片岡英彦氏の著書『成果を出す 広報企画のつくり方』(宣伝会議)
まなびのポイント 2
戦略PRと戦略的でないPRの違いについて、戦略的でないPRは、伝えたい情報をプレスリリースで出すのみで、取材待ち、掲載、クリッピング、広告掲載と受け身な姿勢である。
戦略PRは、露出を前提とした構成で話題になる仕掛けをつくる。また、戦略PRには正しいペルソナ(商品・サービスのユーザー像)の設定が必要だ。ターゲットに適したPR手法を検討する。
まなびのポイント 3
PR活動における目標設定と効果測定について、次の3つを押さえていただきたい。
⑴単純な広告換算だけではなく独自の評価指標を設定する
好感度・想起率などである。数値はビフォー・アフターで検証することも忘れないでいただきたい。
⑵予算はビジネスモデルを含めて顧客の獲得単価から考える
例えば、LTV(顧客生涯価値)などである。
⑶広告換算と合わせて施策前の認知度などの現状認識調査を行う
また、自社のPR活動をストーリー化(物語化)することも重要である。ポイントは、次の5つである。
⑴日本一・統計的・標準的・視覚的・連続的・反復性の要素を組み合わせる
⑵社会課題・問題解決ストーリーを交える
⑶旬なネタか、シェアしやすいかなど、クリエイティブのポイントを押さえる
⑷インフォグラフィックスによる可視化(統計的×視覚的)
⑸簡易ゲームやアプリを活用したゲーミフィケーション
講演の様子