メインビジュアルの画像
研究リポート

ウェルビーイングでビジネスを成長させる研究会

新たな時代で勝ち残るための生活者視点・お客様視点の事業戦略をウェルビーイングの視点から学びます。
研究リポート 2024.05.27

「エリエール」が考えるウェルビーイングな取り組み

大王製紙

【第2回の趣旨】
タナベコンサルティングの「ウェルビーイングでビジネスを成長させる研究会」では、ウェルビーイングを中心としたビジネス展開や、ウェルビーイング視点で価値創造を行っているさまざまな企業の視察を通じて、ウェルビーイングでビジネスを成長させるヒント、あるいは事業構造を変革するきっかけをつかむ機会を提供している。

第2回は、前回に引き続き「ウェルビーイングビジネスを体験・体感する」をテーマに、2社のゲスト講師から自社・事業の成長の歴史と成功ポイントを伺うとともに、ウェルビーイングビジネスのターゲットや商品についてディスカッションを行った。

開催日時:2024年4月17日(東京開催)

 

 

 

大王製紙株式会社
ホーム&パーソナルケア グローバルマーケティング本部 副本部長 中田 賢二 氏

 

 

はじめに

 

家庭用品「エリエール」のブランドで知られる大王製紙。同社は「エリエール」、大人用紙おむつ「アテント」、生理用ナプキン「elis(エリス)」の3ブランドでウェルビーイング活動を展開し、「ウェルビーイングアワード2023」(主催:朝日新聞社などが構成するウェルビーイングアクション実行委員会、共催:ウェルビーイング学会)の「活動・アクション部門」グランプリに選ばれた。

 

「ウェルビーイングそのものがビジネスの原点」と捉える同社が、どのように世の中の役に立ち、幸せを実現し、ウェルビーイング活動をビジネスに反映させるのか。その狙いや背景、ウェルビーイング視点のマーケティング戦略を、ホーム&パーソナルケアグローバルマーケティング本部の副本部長・中田賢二氏にうかがった。

 

 


 

まなびのポイント 1:「アテント」の取り組み

 

「もっといいパンツになる」という約束を掲げるアテントは、「おむつ」ではなく、「パンツ」という表現でメッセージを発信し続けている。それでも紙パンツはセンシティブで、使っていることをなかなか人に言えなかったり、買い物のときに恥ずかしかったりする。そこで同社は、下着メーカーのワコールと共同開発したカラー「エレガントピンクベージュ」を採用した紙パンツを作るなど、「明るい気分で使ってもらえるように」というウェルビーイング視点を取り入れている。

 

さらに、普段の下着と同じように気兼ねなく紙パンツをはいてもらいたいという思いから、アテントのうす型シリーズ「下着爽快」「下着気分」を開発。買いやすく持って帰りやすいパッケージデザインにするなど、機能面だけでなく、心理的な面からもアプローチできるブランディングを行っている。機能的価値よりも情緒的価値を訴求することによって、シェア拡大を目指しているのである。

 

 

タレントの草彅剛さんを起用したテレビCMや新聞広告などを通じてメッセージを発信し、紙パンツを気軽にはける未来を応援

 

 

 

まなびのポイント 2:「エリス」の取り組み

 

生理用ナプキンブランドのエリスは、2022年4月、ブランドメッセージを「前を向く、女性のそばに。」から「だれかではなく、あなたのそばに。」へ刷新。生理が女性のチャレンジの障壁になってはならないというウェルビーイング思考から、「奨学ナプキン®」を開始した。

 

経済的な理由から生理用品の入手が困難な「生理の貧困」という社会課題の解決を目指す一環で、2000名の学生を対象に、生理用ナプキンを1年間、無償で配布する取り組みだ。応募は累計で1万4000件を超え、200を超えるメディアに取り上げられた。

 

また、世界中の女の子の自立を実現するために、今困っていることを解決・支援する「ハートサポート」プロジェクトは、「生理が、あきらめる理由にならない世界の実現」に向けて2018年から活動を開始。SNSに集まった「いいね」の投稿数、「#ハートサポート」を付けたインスタグラムの投稿数などに応じた枚数のナプキンを、ケニア共和国やザンビア共和国に送る支援などを行っている。

 

このように、同社はウェルビーイング活動を通じて、世界の多様な可能性を摘んでしまわないよう支援するという形で、社会課題に向き合っている。

 

 


生理用品の入手で困っている学生に向け、エリスが2000名を対象に、生理用ナプキンを1年間、無償で支援する活動「奨学ナプキン® 」

 

 

 

まなびのポイント 3:「エリエール」の取り組み

 

昭和から平成・令和にかけて、核家族化の進行やデジタルツール・SNSが発達する一方で、人と人が触れ合う機会が減少している。このような状況下で、エリエールは「ふれあい」をテーマとし、もっと人々に幸福を感じてもらうための「えがおにタッチPROJECT」を始動。ふれあいの医学的効果や「幸せホルモン」を効率的に分泌できるふれあい方などを発信する啓発活動や、地方自治体などが行うふれあいを増やす活動に、エリエール商品の売り上げの一部を寄付している。

 

「このプロジェクトでまいた『ふれあいを促す』という種は、今を生きる人たちによって育てられ、次の世代へも引き継がれていくはず」という想いで活動を続ける同社。人とふれあうことが当たり前の所作となることで、ウェルビーイングを意識することなく、自然にウェルビーイングが実現されている、そんな「やさしい未来」を目指している。

 

 


人の幸せにつながるかけがえのない触れ合い「エッセンシャルタッチ」をテーマにした、エリエールの「えがおにタッチPROJECT」