メインビジュアルの画像
研究リポート
企業価値を高める戦略CFO研究会
経営者・経営幹部は、事業価値・企業価値を見極め、事業ポートフォリオを最適化する必要があります。会計ファイナンス思考による戦略的意思決定を学びます。
研究リポート 2024.05.13

レゾナックの企業変革 レゾナック

【第2回の趣旨】
CFOは、単なる財務担当者ではなく「企業参謀」として、経営者目線での財務はもちろんのこと、非財務への取組により企業価値を向上させる存在である。
第2回テーマは「ESG経営と財務・非財務戦略による企業価値向上」。経営戦略と財務・非財務戦略を連動させ、それらを企業価値に変えていくCFOの視点でESG経営と企業価値向上について学びを深めた。

開催日時:2024年4月17日

 

 

 

レゾナック・ホールディングス 取締役常務執行役員 最高財務責任(CFO)
兼 レゾナック 取締役常務執行役員 最高財務責任者(CFO) 染宮 秀樹 氏

 

 

はじめに

 

レゾナック・ホールディングス及びレゾナックのCFOとして「儲ける力のある会社」へと企業変革に挑み続けている染宮氏。JTC(Japanese Traditional Company)の固定概念を覆す「従業員2万6000人のスタートアップ」の実現によって、日本経済に変革を起こすことを目指し、経営陣一丸となったチーム経営に取り組んでいる。

 

 

 


 

 

 

 

まなびのポイント 1:組織ミッションの再定義

 

レゾナックではCFO組織としてミッション・ビジョンを設定している。CFOは単なる金庫番ではなく、企業価値を最大化させる責務を負っており、起業家精神が必要であると染宮氏は提唱する。

 

CFO組織のミッションの一部にある「グループ・事業部をベストナビゲートする」という言葉には、CFOとして「リスクを共有する」という意味合いがあり、単なる財務部門の1人の担当者としてではなく、経営者目線で事業部と伴走する中でファイナンスの視点から経営戦略・事業戦略を支えている。

 

企業価値を高めていくには、企業と同じようにCFO組織もミッション、ビジョンを掲げ、経営戦略とリンクしたCFO組織ミッションを再定義することが求められる。

 


出所:レゾナック提供資料

 

 

 

まなびのポイント 2:ポートフォリオマネジメント

 

企業価値を高めるべくCFO主導の下、事業ポートフォリオ見直しによる事業の最適化を図っているレゾナック。

 

ポートフォリオ経営を高度化させるために、次の3つの視点でポートフォリオの運営方針を打ち出している。1つ目は「戦略適合性」、2つ目は「ベストオーナー」、3つ目は「採算性・資本効率」だ。

 

戦略適合性ではサステナビリティの観点から自社の戦略に合致したポートフォリオか否かを考える。ベストオーナーは「我々がその事業のオーナーであることでその事業の価値が最大なのか、最大でないなら売却も辞さない」と検討する。採算性・資本効率はROICの考え方であり、事業または投資が採算性・資本効率を充足するかで判断する。

 

 

 

 

まなびのポイント 3:CFO人材育成プログラム

 

CFOは実績を管理・監督する役割を担うのではなく、未来の数字を担うべきである。同社ではグループ会社や各事業部に在籍する経理・計数担当者の人事権をCFOが持ち、組織に横串を通してジョブローテーションを行うことで組織の活性化とグループ全体最適を推進している。

 

また、社内集合研修としてCFO人材育成プログラムを実施し、インプットとして講義・ケーススタディーを行い、アウトプットとしてキャリアビジョンの策定とグループワークによるレゾナックへの戦略提案を策定している。

 

さらに、キャリアツリーにおいてはCFO領域に限定しない事業部や子会社・本社など、他の領域にまで波及させることでCFO思考を持った人材のキャリアの多様化を図っている。

 


出所:レゾナック提供資料