【第2回の趣旨】
成長M&A実践研究会では、M&Aのモデルを確立している企業から独自のM&Aノウハウと業種の特徴を取り入れた事例を学ぶ場を提供。M&Aを活用した成長戦略を実現し、自社の企業価値を向上させるための道しるべを提示する。
第2回のテーマは「M&Aと組織人材」。フジホールディングス株式会社による「M&A戦略」についての講演を配信。M&Aを積極的に推進する企業の戦略構築について深く考察した。
開催日時:2024年4月18日(大阪開催)
執行役員 マーケティング部 部長 川上 泰生 氏
はじめに
フジホールディングスは全国に123拠点(2024年3月現在)を有する運送会社である。
運送業界は2024年問題を受け、全国ネットワーク展開を進めるため、出店と併せて、M&Aに取り組み、シナジー効果を見込める可能性のある会社を買収し、フジグループの人的資本やノウハウを駆使し、業績を伸ばしている。
また、フジホールディングスは企業ブランディングの構築にも力を入れ、マーケティング部を設立し、公認のユーチューバーも活用し、広報・採用においてSNSでの発信や採用支援ツールの使用により積極的に採用を増やしており、働き方改革を踏まえ従業員ファーストの考えのもと価値提供する企業集団である。
今回は運送業界におけるM&Aのあり方とM&A後の組織人材戦略の進め方について実例を交え、M&A実務者が対象企業を評価するポイントについて講演いただいた。
まなびのポイント 1:労働集約型産業におけるPMIのポイント
労働集約型産業における買収後の取り組みのポイントは、次の通りである。
1.従業員について
・M&A後、譲渡側の全従業員への説明は丁寧にかつ早急に行う。
・人事制度、賃金制度はフジホールディングスの水準に合わせ、必要に応じて再投資行い、従業員のモチベーションを維持する。
・施設の供用、従業員同士の交流、運行計画の見直しなどシナジー効果を生み出す。
2.顧客について
・フジホールディングスの顧客を紹介する。
・サービスの説明と適正運賃の収受を行う。
・中間マージンがカットされ収益改善につながる。
公認YouTuberによる発信、採用支援ツール使用などにより積極的に採用を増やしている
まなびのポイント 2:物流業界におけるM&Aのポイント①
物流業界におけるM&Aのポイント(マーケット、買い手企業、売り手企業)は、次の通りである。
1.マーケットの現状
運送業界は債務超過の会社が多く、純然たる事業承継はほぼない。
2.買い手企業について
買収目的を明確にしシナジー効果を見極める。
3. 売り手企業について
財務内容の把握、企業価値が理解できていない経営者が少なくない。
売り手仲介会社が多数存在し、条件提示が様々で売り手が勘違する場合もある。
まなびのポイント 3:物流業界におけるM&Aのポイント②
物流業界におけるM&Aのポイント(企業評価、リスク、仲介会社、社労士・税理士)は、次の通りである。
4. 企業評価について
固定資産は時価評価する。
5. リスクについて
現場は必ず確認する。
6. 仲介会社、社労士、税理士
物流業界に明るい人は多くない。
※画像は講演資料より抜粋